アドビが発表した2014年11月1日から28日までのホリデー商戦、オンライン売上高は前年比14%増の320億ドル(約3兆7760億円)でした。景気拡大と労働市場の改善に支えられ感謝祭、ブラック・フライデーそろってネット売上高は過去最高を樹立。小売業にとっては、前祝いしたくなる数字ですね。伸び率では感謝祭が2013年から加速を遂げたものの、ブラック・フライデーは鈍化しており、まちまちでした。
携帯端末が売上に占める割合は13%と前年の7%から急伸しており、前年比で倍増したのは統計開始以来で初の快挙だといいます。タブレットのシェアが16%と、2013年の14%から小幅上昇したことと明暗を分けました。今年は他に、ソーシャルメディアの影響力も色濃く示しています。フェイスブックの平均受注額にいたっては、3桁に乗せていました。詳細は、以下の通り。
▽サンクスギビング・デー
・売上高 13億3000万ドル(約1570億円)
・伸び率 25%増>2013年は18%増
・注文平均額 149ドル(約1万7580円)
・スマートフォンが占める割合 29%>前年は21%
▽ブラック・フライデー
・売上高 24億ドル(約2830億円)
・伸び率 24%増<2013年は39%増
・注文平均額 142ドル(約1万6760円)
・スマートフォンが占める割合 27%>前年は24%
感謝祭こそ予想に若干届かなかったものの、ブラック・フライデーは期待通りの結果に。
▽ソーシャルメディアの平均受注額
1位 フェイスブック 7%増の114.45ドル(約1万3510円)
2位 ピンタレスト 16%増の93.20ドル(約1万1000円)
3位 ツイッター 5%増の90.74ドル(約1万710円)
→ピンタレストは関心のある画像を集めるだけに直接、視覚にアピールする利点から伸び率は追随を許しません。
興味深い点は、3つ。
▽携帯端末、iOS対アンドロイドは再びアップルに軍配
→携帯端末の買い物動向をひも解くと、オペレーション・システム別でみた端末の売上シェアはアップルのiOSが79%に対しアンドロイドが21%。かつてこんなニュースが取り沙汰されたようにファッション、デザイン、トレンドへの意識が高いアップル・ユーザーの支出が多いのは、想定の範囲内とも言えます。
▽独身の日(シングルズ・デー)、本格的にアメリカ上陸
→中国で話題のシングル・デーである11月11日のオンライン売上高は、アリババ上場という相乗効果もあって16%増の12億9000万ドル(1522億円)と、統計開始以来で最高を記録しました。感謝祭の13億3000万ドルに迫る勢いをみせ、伸び率でいえばサイバー・マンデーを超える可能性すら浮上しています。ネット値引き率なら文句なしでトップ5にランクインしており、商魂たくましいアメリカで定着しつつある様子を確認しました。ただ本家本元、中国での売上高と比較するとさすがに見劣りしますが・・。
▽注目のギフト
→今年はやっぱり、ソニーやサムスンの4Kテレビソーシャルメディアで話題をさらい350%増に達していました。ちょうど金融危機後の買い替え需要も重なったとみられます。ウェラブル商品では「Fitbit」が大人気で、サンクスギビング・デーとブラック・フライデー両日で10万回も言及されていたなんで、凄まじいですね。スマートフォンでは、「iPhone 6」が注目の的でした。
Fitbit、カラーバリエーションも豊富で女性のハートもキャッチ。
オンラインでのホリデー商戦は今年、ブラック・フライデーまでをみると上々の滑り出しでした。客足が減ってオンライン売上高が好調だった2013年を彷彿とさせます。小売業は格安店から高級ブランドまで売上で苦戦してきましたが、ホリデー商戦でどこまで挽回できるか楽しみですね。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年11月29日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。