安倍政権が嫌いな人も納得できる道を探そう。

倉本 圭造

(この記事は、先日の衆院選直後に、この結果に「不満」な人にも希望が持てる道筋を示そうという意図で書かれたものです。が、あまりに長くてアゴラ編集部の投稿ガイドラインに反してしまい注意を受けたので、分割して再度投稿させていただいております。毎回単体でも読めるように工夫していきます。)

今回の選挙に対して、日本人の反応を考えてみると、

それに対して、
A・「左翼ざまぁ!」的な凱歌を上げている人
B・「とりあえずほっとした」という人
C・「絶望した!右傾化する日本に絶望した!」
という反応が大まかにいうと考えられると思いますが、ふと考えてみると、

実はBとCは相互理解可能な未来を描いていて、その結果はAの人にも悪いものじゃないはず

なのではないかと私は思っています。


Bのあなたは、

『もう右とか左とかわけわからん論争はいいよ。ある意味引き返し不能なアベノミクスやりはじめちゃったんだから、もう完遂するしかないだろ?お前らちゃんと危機感持ってんの?』

と思っていることが多いだろうと思いますし、そうするともういわゆるアベノミクス「第三の矢」=「構造改革」をやりきるしかない、どうしたらやりきれるだろうか?ということがイシュー(決定的な課題)になると思われます。

で、そういうBの人が思っている「改革」と「C」の人が思っているビジョンというのは「全っ然違う」ように一般的に思われているが、そこが「薩長同盟」的に結びついて同じビジョンに向かって動き出さないと、結局日本における「Bの改革」も「Cの改革」も決して進まないだろう、しかし、そこが「結びつきさえすれば」、絡まった紐があるキッカケからスルスルとほどけていくように、日本における「改革」は進むし、

Bの人の願う「構造改革」
Cの人が願う「”戦後左翼主義の夢”みたいなもの」

の延長に、

Aの人が願う「日本すげえええええ!イヤッホー!!」

という構図が成立するように持っていけるんじゃないかと私は考えているわけです。

これは、

・「安倍政権的なものをどうしても潰したいと思っているCの人」にとって、今までのやり方では決して突き抜けられなかった積年の課題の解決の方向性を示すもの

であり、

・「構造改革をやりきりたい人」「グローバル経済における日本の戦略性をしっかり打ち立てたいと願うBの人」にとっても、自分たちの戦略への「抵抗勢力」をうまく説得して本当に「改革」をやりきるための方策として参考にしていただけるもの

になっています。

目次は以下の通りです。

1・「戦後左翼の夢」と「構造改革者の夢」は実は同じ地点に着地したがっている。
2・「護持された古い国体」を壊すときには、「あたらしい国体」が必要になる。
3・”良識ある市場主義”への「大政奉還」が必要
4・英国的良識との連携と、日本の人文系の思想家(及び左翼メディア)の可能性が最後の鍵

とりあえず安倍政権は信任されたわけですし、安倍政権が憎くてたまらないCの人も、「なぜ安倍政権が今信任されているのか」について、それは自分たちの提示する現状認識や未来像について、何か真剣に問い直さないといけないことがあるからだ・・・というふうに、負けた選挙の次の日ぐらいは考えてみてもいいんじゃないかと思います。

一方で、「構造改革」を目指すあなたも、このまま第1の矢と第2の矢だけで乗り切れる情勢じゃないのは薄々わかっておられるでしょうし、ならば「日本における改革の難しさ」について一段深い視点から捉え返してみる・・・ような時間があってもいいように思います。

初めての方もおられると思うので、少しだけいつもやっている自己紹介をすると、私は大学卒業後、マッキンゼーというアメリカのコンサルティング会社に入ったのですが、その「グローバリズム風に啓蒙的過ぎる仕切り方」と「”右傾化”といったような単語で一概に否定されてしまうような人々の感情」との間のギャップをなんとかしないといけないという思いから、「その両者をシナジーする一貫した戦略」について一貫して模索を続けてきました。

そのプロセスの中では、その「野蛮さ」の中にも実際に入って行かねばならないという思いから、物凄くブラックかつ、詐欺一歩手前の浄水器の訪問販売会社に潜入していたこともありますし、物流倉庫の肉体労働をしていたこともありますし、ホストクラブや、時には新興宗教団体に潜入してフィールドワークをしていたこともあります。(なんでそんなアホなことをしようとしたのかは話すと長くなるので詳細はコチラ↓をどうぞ。)
http://keizokuramoto.blogspot.jp/2012/07/blog-post_18.html

で、今はコンサル業に戻っているんですが、こういう「ナショナリズム的なものと、経済・経営 に関する問題の相互関係」について考える「経済思想家」というのも職業として掲げて、過去に三作の本を発表しています。(『21世紀の薩長同盟を結べ』『日本がアメリカに勝つ方法』『「アメリカの時代」の終焉に、生まれ変わる日本』

この問題は、「A・B・Cの3つのグループのそれぞれの内側」だけで盛り上がっていてもなかなか前に進めません。国レベルの決定的な決断の瞬間になってくると、別のグループの中の「どうしても譲れない一線」とぶつかってしまうからです。

しかし、現代社会の中でキチンとした有能性を発揮して生きようとすると、それぞれのグループの内部的論理をしっかりと内面化して研鑽に励むことは避けられない義務とすら言えるところがあります。

だからこそ、ネットの一期一会の中でこの記事に出会ったあなたが、私の体験を通じて「別グループの人との共同ビジョンの立ち上げの可能性」を感じていただければと思っています。

安倍政権が好きな人も嫌いな人も、ある程度共有できる方向性・・・が立ち上がって来ない限りは、そろそろ「シャレにならない」レベルの袋小路にぶつかりつつあるのがこの国ですからね。

ほぼ毎日不定期に更新していく予定ですが、連載形式だと半月ぐらいかかるので、一気読みされたい方は、私のブログ↓でどうぞ。
http://keizokuramoto.blogspot.jp/2014/12/blog-post_14.html

倉本圭造
経済思想家・経営コンサルタント
・公式ウェブサイト→http://www.how-to-beat-the-usa.com/
・ツイッター→@keizokuramoto
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