なぜ人は先延ばしをするのか?思考の癖を理解しよう!

尾藤 克之

「仕事のレポートをまとめなきゃ。なんとかなる。1ヵ月もあるし」「フィットネスクラブに入会した。夏までにはシックスパックだ。でも寒いから明日から頑張る」「今日は雨だから会社に行きたくないな。風邪をひいたことにしよう」。理由をつけて行動に移せない人は少なくない。あれこれ考えているうちに、何も動けなくなることがある。

今回、紹介するのは、『「すぐやる人」のノート術』(明日香出版社)。著者は塚本亮さん。偏差値30台の不良から、ケンブリッジ大学院まで進み、帰国後、京都で英会話スクールを設立する。先日、版元である明日香出版社で、担当編集者・古川さん同席のもとインタビューを実施した。その様子をお伝えしたい。

行動力を奪う要因とは

先延ばしを好ましいと思っている人はいないだろう。「やろう」と思っていたのに行動が抑制されてします。「やろう」とギアを入れない限り、先延ばしを改善することは難しいが、なぜできないのか。これは感情によって行動力が奪われているからである。

「私たちから行動力を奪っていくものを考えてみましょう。『やることをちゃんと把握できていない』『思考が整理されていない』『モヤモヤして気乗りしない』『すべきことに追われているだけ』。この4つが、行動力を奪う阻害要因になります。では、これを1つひとつ見ていきましょう。理由が判明してきます。」(塚本さん)

(1)やることをちゃんと把握できていない
これは、しようと思っていたことを忘れてしまうことです。何かに取り組んでいるときに、他の人から仕事の依頼があるかも知れません。きちんとやるべきことを把握しておかないと、「やるのを忘れた」ということになりかねません。

(2)思考が整理されていない
頭のなかがごちゃごちゃしていると、行動力が落ちてしまいます。情報がどんどん飛び込んでくる今という時代は、選択肢が多すぎて、1つに絞るのも容易ではありません。考えすぎてしまうあまり、行動がとれなくなることがあります。

(3)モヤモヤして気乗りしない
思考と同じで気持ちの整理ができていないときにも行動力は低下します。いくら合理的に判断しようとしても、感情が「NO!」と言っているときもあります。「やりたくない」という気持ち、「失敗したらどうしよう」と考えるあまり、行動できなくなるケースです。

(4)すべきことに追われているだけ
「やらないといけない」は、「やりたいことを後回しにしている」ことと表裏一体です。日々追われてなにもできなくなると、「あれもそろそろ手をつけないといけないのに」と思いながら、ストレスを感じるようになります。

先延ばしのデメリットとは

このような状態では、健全な精神状態を保つという観点から見ても好ましくない。「体調が悪い」などの行動力を低下させる要因もあるが、塚本さんは、前述の4つが大きな要因だと答える。ここで、先延ばしのデメリットを考えてみたい。

「先延ばしをすると、どんなデメリットがあるのでしょうか。主なものは3つです。『自信を失う』『信用を失う』『チャンスを逃す』。先延ばしを繰り返すと『どうせ自分にはできっこない』『自分はダメ人間だ』という思考癖が染みついてしまいます。これは自信を失った状態です。『信用を失う』というのは、なんとなくわかるかと思います。」(塚本さん)

「これでは、仕事において信用を失いかねない問題に成りかねません。今の時代、特にスピードが重視されています。先延ばしで信用を失いたくないものですね。』『チャンスを逃す』というのは、チャンスが巡ってきていても、優柔不断なままでいたら、チャンスを逃してしまうということです。チャンスボールを見逃しては成功はつかめません。」(同)

塚本さんは、ノートでこれらの問題を解消できると主張する。ノートの持つ力は絶大であなどれないと。ケンブリッジ大で、塚本さんは「すぐやる技術」を学んだ。そのベースは「ノートをつけること」だった。さて、筆者も1月に新しい本を上梓したので、関心のある方は手にとっていただきたい。ノートの取り方が上手くなるかも知れない。『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)。

尾藤克之
コラムニスト