人間関係のトラブルは「暇な人×暇な人」の間でも起きる

黒坂 岳央

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

2月11日に放送された「初耳学」(TBS系列)で、林修さんがとても示唆に富む面白いコメントをしています。

林は足を引っ張ろうとするアホな人の特徴として「まず、あなたに強い関心があるんですよ。無関心だったらいろいろやってこないです。そして、僕はこれが一番重要だと思うんですけど、暇なんですよ。暇っていうのは最大の敵ですよ」 と口にする。

さらに、「小人閑居して不善を成す、つまり、つまらない人間は暇にしておくとロクなことをしないと。人間の関わりは3通りで、忙しい同士の人の関わり・暇な人同士の関わり・忙しい人と暇な人の関わり。トラブルが起きるのはここ(忙しい人と暇な人の関わり)だけですよ。こっちは忙しくて向こうは暇で、こっち(暇な人)は攻撃時間がたっぷりある。こんなもの絶対負けるんですよ」と持っている時間が全く違うため、正義感を持ってアホな人に応戦しても勝ち目はなく、不毛であると語った。

引用元:リアルライブ「アホのほうが出世する?林修「正義感は無駄」」

このコメントについて、思ったことをお話させて頂きたいと思います。

「暇な人」は本当に時間を持て余す暇人なのか?

林さんがいっている「暇な人」というのは、学生やニートをやっていて本当に暇で何もやることがない人たちだけではないと思います。そうではなく、定職を持って日中は忙しくしているのですが、仕事が終わって空いた余暇時間を自己研鑽ではなく、他人を批判するのに使っている人たちの事をいっているのでしょう。他人を批判する人たちに「君たちは暇人だな」といっても「暇じゃねえよ!仕事をして家でも忙しくしているんだよ!」と怒りながら回答が返ってくると思います。

実際、私を含めて多くの人は仕事をしなければ生活が成り立ちませんから、暇を持て余してやることがない人は世の中にあまり多くいません。

「暇な人×暇な人」“でも”トラブルは起こる

今回、余暇時間を他人の批判に使う人たちを「暇人」と呼び、反対に自分のために使う人たちを「忙しい人」としましょう。さて、林さんは人間の関わりを下記の3通りに分けています。

・忙しい人 × 忙しい人

・暇な人 × 暇な人

・忙しい人 × 暇な人

そして問題が起きるのは3つ目の「忙しい人 × 暇な人」であるといっています。でも実際には「暇な人 × 暇な人」という組み合わせでも、トラブルが起きるケースを私は見てきました。ネットの質問掲示板などでは、時々質問者と回答者での応酬を目にすることがありますが、忙しい人はいちいち批判者に反撃することはありません。自分の感覚では30分、1時間の空き時間があれば1つでも多くの記事を書き、自社のネットショップをアップデートするのに時間を使いたいので、批判に反論する時間を使いたいと思わないんですよね。

一応、お断りをしておくと、「ごもっともなご指摘だな」と感じた建設的意見や感想をくれた相手には丁寧にお礼を言うようにしています。しかし、明らかに批判目的とか、記事の中身をちゃんと読まずに送ってくるコメントには応酬する時間がもったいないので回答を出したことはありません。

ちなみに「暇な人×忙しい人」「暇な人×暇な人」のトラブルが起きる舞台はネットだけでなく、リアルでの争いもそうです。電車やお店でケンカや騒ぎを起こしている人を見かけることがありますが、本当に忙しい人は争い事に使う時間がもったいないと思うのではないでしょうか。東京に住んでいた頃は、朝の満員電車で言い争いをする「大人」を何度か目撃しましたね。

他人を批判して彼らが得ているもの

そもそも、なぜ空いた時間を使って他人の批判をする人がいるのでしょうか?その答えを「承認欲求」で説明することができると思います。言わずもがな、マズローの欲求5段階説の一つです。

日本は世界3番目の経済大国、一人あたりの経済力は落ちたとはいえ世界から見ると豊かな生活をしていると思います。外出して何者かに殺される心配はありませんし、どんな人でも最低限の生活ができるような社会のセーフティーネットも設けられています。また、言論の自由があり特にネットでは匿名で発言できますから名誉毀損になる事を除けば基本的に好きなことを主張できます。私もこのように自分の意見を自由に展開していますが、誰かに批判されることはあっても、警察に逮捕されることがないので堂々といっているわけです。

そんな日本で生活をしていると、刺激されるのが「承認欲求」だと思うんですよね。生理的欲求はほとんどの人は心配がありません。日本では飢えるケースはほとんどなく、外出中に犯罪に巻き込まれ、家がなくて生活に困ることもあまりありません。

学校や会社に属してとりあえず生活が出来ている、そうなると次の承認欲求が壁として立ちはだかります。認めてもらいたい、という欲求は自助努力で高みを目指す、というモチベーションになりますがこじれると「他人を批判して優位に立つ感覚を得たい」という行動に繋がってしまうのではないでしょうか。これがネットで他人を攻撃する行動になっているのではないかと思うんですよね。

空いた時間を使って誰かの批判をする暇な人、彼らが一時的な優越感を得るため、他人を攻撃しているのだとしたら忙しい人からすると「時間もったいなくない?自助努力に向けてみては?」という感覚を持ってしまうのは無理からぬことです。人生の時間は限られています。誰にも束縛されない真に自由な時間は更にもっと短いのです。

この時間を有意義に使うことで、一時的ではなく、常時充実した時間を過ごすことができるわけです。貴重な時間を使って他人を攻撃して得られる結果が「一時的な優越感」しかないのだとしたら、やっぱり時間がもったいないと感じてしまいます。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。