ソーシャル化を進めない企業あるいは国家は間違いなく衰退していく、僕はそう考えます。
ここでいうソーシャル化とは、人間関係がWeb化されて社会全体に波及していく環境を指し、その定義でいえば、政治・経済・地方自治・教育など、すべての分野がソーシャル化されていくべきです。従って、国家全体としてもそうだし、企業や大学などの団体もまたソーシャル化していく必要があります。
この意図を説明する前に、背景となっているFacebook vs. Googleの戦争の意味を説明しましょう。
Facebookのような巨大なSNSの強みとは、多くの会員が中にいて、かつ居住地や生年月日、性別や趣味・嗜好などの詳細な個人情報を登録してくれているということです。そして、その情報が、それぞれの会員が友人関係になることで、密接に結びつきます。この状態や含まれる情報などを総じて「ソーシャルグラフ」と呼んでいます。
ソーシャルグラフは、会員と会員の人間関係はもちろんのこと、興味の矛先であるモノとヒトとコトの関係性など、さまざまな情報の関連性(総じてインタレスト)のことでもあります。これらは会員が今どこにいるのかという位置情報や、時間などの変数によって常時意味を変えていきます。つまり、ソーシャルグラフとは、非常に複雑で有機的なデータの固まりです。複雑で巨大なデータ、すなわちビッグデータそのものといえます。
Facebookはソーシャルグラフを用いて、新しい形の検索エンジンになろうとしているのかもしれません。検索エンジンというよりも、Web全体のビッグデータを扱うデータベースといった方がいいかもしれません。
検索エンジンと言えばGoogleでした。グーグルがインターネットの覇者になれた理由は、彼らが従来の誰よりも正確な答えをはじき出せる検索エンジンを作ったからに他なりません。Googleは検索エンジンを、トラフィックマシンとして考えて、ユーザーがWebからWebへと移動することで生まれるトラフィックを換金する最高の仕組み=検索連動型広告(AdSense/AdWords) を開発しました。彼らはトラフィックを発生させて、クライアントが望む方向にユーザーを移動させることでお金を儲けています。
Facebookがソーシャルグラフを用いた検索エンジンになるということは、ソーシャルグラフから発生するトラフィックを最大化して換金を狙うということです。
ハイパーリンクをベースとした検索エンジンであるGoogleに、Facebookはリアルな人間関係(ソーシャルグラフ)をベースとした検索エンジンであることで対抗しようとしているわけです。
GoogleはこれまでFacebookの攻勢になす術がなかったのですが、ここにきてGoogle+という新たなSNSを展開しはじめました。
Google+ vs. Facebookがどのような帰結を迎えるのかはおいて、次回のエントリーではGoogle+がなんであるか、そしてGoogleとFacebookの戦火に巻き込まれていく中で生き残るには企業もソーシャル化するしかない、という主張について改めて説明したいと思います。