昨日、緊急事態宣言の特定警戒地域に指定されていた8都道府県のうち、大阪府、京都府、兵庫県で緊急事態宣言が解除されました。
緊急事態宣言の解除の目安が何だったかというと、(1)感染の状況【疫学的状況】1週間で新規感染者が10万人あたり0.5人未満程度、(2)医療提供体制【医療状況】医療体制がひっ迫していない、(3)検査体制の構築 PCR検査などの検査システム確立です。
直近1週間の新たな感染者が人口10万人当たり0.5人という解除目安の感染の状況が、解除された関西の3府県で下回っていましたが、東京や神奈川で基準を上回っていることから首都圏、そして北海道では解除が見送られました。
直近1週間の新規感染者数の推移(14日〜20日)
北海道 0.69
埼玉県 0.33
千葉県 0.21
東京都 0.56
神奈川県 1.08
京都府 0.04
大阪府 0.24
兵庫県 0.07
さて、緊急事態宣言の解除が何を意味するのか、人々は何を待っていたのかといえば、当然自粛モードが解かれるということです、これまで閉まっていたお店が再開をするなどにつながります。すでに大阪府の場合は、14日に大阪府独自の指針「大阪モデル」の基準を満たしたことから、16日0時から自粛要請の緩和を行ってきました。例えば飲食店では営業終了時間が19時から22時まで、酒類の提供は19時から21時までそれぞれ2時間延長していました。それ以外にも、映画館なども客席と客席の間隔を空けるなどして営業を再開しました。これは大阪府内での自粛解除ですが、これから先、今回の緊急事態宣言解除によってそのエリアは順次そうした再開をしていくということになるでしょう。
さて、これは当たり前のことですけれども、緊急事態宣言の解除が新型コロナウイルスに打ち勝ったということではありません。率直に言って、新型コロナウイルスはまだ我が日本社会のあちこちにあるわけです。そして自覚している人も、あるいは自覚していない人も含めて、感染者は日本にまだいるわけです。今回の解除は、病院が何とか機能するようになってきている。そして、経済もあわせて再開をしていかないと、どんどん経済沈んでしまうということを意味してます。ですから、解除と同時にコロナ前と同じような生活や仕事、レジャーをやり始めれば、韓国のクラブで一気にまたクラスターが発生してしまったような事態になってしまうかもしれません。その場合は、緊急事態宣言がまた発令されることにつながってしまいます。
その意味で、まだ“afterコロナ”ではなく、“withコロナ”であり、コロナとの共生を始めようということです。政府が言う“新しい生活様式”も、コロナと一緒に生活、仕事、これらを開始し始めましょうということです。
“withコロナ”が順調に進んでいけば、その間にワクチンや薬ができ、コロナが本当になくなり、そこから先が“afterコロナ”になるわけです。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年5月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。