先週7月31日、立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党は日本国憲法第53条に基づいて臨時国会を召集するように政府に要求しました。
憲法53条には「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と書いてあります。
「あれ、テレビのニュースで国会で議論やってる映像を見たぞ」と思う人もいるかもしれませんが、あれは閉会中審査です。その閉会中審査を理由に、内閣や与党は国会の召集に今のところ前向きな様子はありません。先ほども言ったように憲法53条には召集を決定しなければならないと書いてあるわけですから、普通の日本語読解力のある人ならば招集しなきゃいけないのではと思いますよね。しかし、何日以内に召集を決定しなければならないというような、リミットが書いてありませんので、放っておくことも可能なわけです。
私は野党の国会議員、なかんずく国会対策委員会委員長(国対委員長)もやりましたから、野党の議員が国会開催を求め、議論をしようというのはこれ国会議員としての権利だと思います。今回、野党4党は衆議院の大島理森議長に書面で要求をしました。私やはりこうした正式な手続きを踏んだ場合は、直ちに国会を召集しなければいけないと今でも思いますね。
一方で、野党は実はポーズで国会の召集を求めるケースも多いんです。本音では招集しなくてもいいと思いつつも、ポーズで提出する。今だったら「夏休みとっているから開催しなくていいわ、しかも暑いし・・・」というふうに考えていないわけでもないですけれども、政権への嫌がらせとして要求するわけです。「与党はさぼるな!」「総理を初め大臣は逃げるな!」というためというケースもあるわけです。
しかし今回、立憲民主党の安住淳国対委員長は、「国会を開かず、説明責任を果たさないなら、安倍内閣は新型コロナウイルス対策を放棄したと断ぜざるをえない。真摯(しんし)な議論を国民の前で連日行う場をぜひ作ってもらいたい」と言っています。正直、これは正論です。
毎日新聞は「野党が臨時国会要求 首相は直ちに召集決断」という見出しで社説を出しました。その毎日新聞は別の記事で、6月17日に通常国会の閉会後は首相はその後の閉会中審査に出席していないという記事を出しています。要するに、安倍首相に国会に出てきて説明しろと言っているわけですけれども、私なんでもかんでも首相に説明を求めるのもいかがなものかと思います。
国会ではない場所や機会に首相が説明することもできるわけですし、ただでさえ日本の首相は国会拘束されすぎです。しかし、閉会中審査はできても法案の採決は本会議を開かれなければできません。そういう意味では基本的に国会の召集が必要になるわけですが、今回のコロナで東京都医師会からは、法的拘束力のある休業要請を法律として作るべきという声も上がっています。今の特措法を改正して条項に法的拘束力を付け加えるのは、個人的には法律を改正することに賛成です。
そもそも65人の衆議院議員と245人の参議院議員、あわせて710人の衆参議員が夏休み取ってる場合ですかね。小中高校生だって今年の夏休み短いのに、国会議員は何ヶ月の夏休みを取るいるんだいう感じです。また自民党の憲法改正草案では、さっきの53条に、20日以内に召集を決定するという追記を案として示しています。ですから、今、ただ召集しないというのではなく、召集を望むのであれば憲法改正議論をやれと切り返すのも、私は手だと思います。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年8月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。