地域共通クーポンを使ってみて思ったこと

20名の資産設計実践会メンバーで東北応援ツアーに出かけてきました。「GoToトラベル」の対象ということで、現地で地域共通クーポンというのが配布されました。

これは、旅行代金の15%相当額を受け取れるもので、旅行先の都道府県とその隣接する都道府県において、旅行期間中に限り使用可能になっています。

今回の旅行では、1枚で1000円の買い物ができるチケットが全部で7000円分支給されたのですが、これがとても使い勝手が悪いのです。

現時点での1番の問題は、使えるお店が少なく、どこのお店で使えるかの情報が、正確に把握できないことです。ある街では、ホテルのフロントでは近くのコンビニエンスストアでしか使えないと言われましたが、お土産店に行ってみると、そこでは使えるとのこと。次にいつ使える場所があるかわからないので、早速買い物をしました。

そして、利用できる期間も限られています。1泊の場合、宿泊した前後2日間しか使えないので、油断していると使う場所がないまま、せっかくのクーポンが無駄になってしまう危険性があります。

そのせいもあってクーポンをもらうと、なるべく早く使ってしまおうと、あまり考えもせずお土産を買うのに利用することになりがちです。結局、あまり欲しくもないものを無理矢理買ってしまったりするのです。

クーポンの有効期限は、もう少し長くしても問題は無いのではないかと思います。なぜなら有効期限が残っていれば、またそのクーポンを使うために、同じエリアに旅行をするとしようと考える可能性があるからです。例えば、旅行開始から6ヵ月というようにすれば、半年以内にまたやってきてくれるかもしれません。

地域共通クーポンは、その地域の消費を刺激し、経済を底入れするメリットはあると思います。しかし、キャンペーンが終わると、その反動で消費が落ち込むことになるでしょう。結局、消費の落ち込みを先送りするだけの経済対策で、根本的な日本の観光地の問題の解決にはなりません。

観光事業をテコ入れする一番の方法は、コロナウイルスに対する日本人の意識を変えることです。小手先のバラマキ政策で消費を刺激しても、そのネガティブなマインドが変わらない限り、アクセルとブレーキを一緒に踏んでいるような、中途半端な状態から抜け出すことはできないでしょう。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年10月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。