日本経済新聞によれば、日経センターが日本の1人当たり名目GDPが、10年以内に韓国や台湾に抜かれるという試算を発表したそうです。試算データに過ぎませんが、2027年に韓国、翌2028年に台湾を下回るという予測です。
この数値は米ドル換算ですから、為替レートの影響もあります。また、現地の物価水準によって実質的な生活水準は変わってきますから、鵜呑みにすることはできません。
しかし、日本の生産性の向上が遅れ、それがこのような予測につながっていることは事実です。
世界経済のが大きくデジタル化にシフトする中での日本の弱点は「変われない」ことです。現状維持バイアスが強く、新しいものに適応することに対する抵抗が根強く残っています。
他国の最近の状況は知りませんが、日本社会はコロナウイルスの新規陽性者が減って、徐々にコロナ前の生活が戻ってきたように見えます。
街を歩くと日中でも人出が戻ってきており、赤坂のオフィスビスにはランチ時には、順番待ちの行列が出来るようになりました。ディナーのお店も団体の予約も入っているようで、年末までは予約で満席というお店も珍しくありません。最近は通勤電車がかつてのラッシュ並みに込んでいるという話も聞きました。
リモートワークを進めていた企業も、在宅勤務より出社をするように社員を誘導するようになり、結局「働き方革命」は一部の先進的な企業以外はあまり広がることが無かったという結果です。
日本社会も変化に少しずつ対応しているとは思いますが、そのスピード感は何とも緩慢です。それが、日本の良さだという人もいますが、氷河期の恐竜のように変化に対応できず衰退していくリスクは高いと思います。
アジアでは韓国や台湾だけではなく、マレーシア、タイといった国々も生産性を高め、成長を続ければ、日本の背中に迫ってくるはずです。
いずれ日本のアジアにおけるポジションは、欧州のイタリアやポルトガルのようになる。これが私の予想する日本の未来予想図です。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年12月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。