日本電産の永守式3大経営手法

160420Nagamori-Portrait日本電産の永守重信代表取締役社長は、間違えなく日本の名経営者の1人ですが、インタビュー記事で「永守3大経営手法」というユニークな経営手法を語っています。井戸掘り経営、家計簿経営、千切り経営の3つです。

井戸掘り経営というのは、ビジネスを井戸掘りに例えたもの。井戸を掘れば水は出てくるが、次々と新しい井戸を掘ってくみ上げ続けないと、新しい水は手に入らない。経営も同じで、改革・改善のためのアイデアを常に出し続ける。現状に満足することなく、貪欲に新しいことに挑戦を繰り返すという姿勢が大事だということです。

2つ目の家計簿経営とは、収入に見合った生活をすること。主婦がやっている家計のやりくりと同じです。景気が悪くなって実入りが減ったらそれに見合った生活をする。そして子供の教育やマイホームのような将来への投資はしっかり対応する。会社経営も経費を収入の範囲内に収め、投資にも目を配ることが大切だということです。

そして3つ目の千切り経営とは、何か問題が起きたら、それを小さく切り刻んで対処すること。難しい問題も、細かい要素に分けて考えれば、問題解決がしやすくなる。これは私自身も仕事やプライベートでいつも意識して実践していることです。

どれも、極めて当たり前の、誰でも言われれば納得できる経営の基本です。

日本電産という会社の凄いところは、このわかりやすい会社経営の基本を社長以下社員全員が徹底して毎日続けていることではないかと思いました。社長が自ら実践し、100%のコミットをするから社員が、それを見習ってついてくる。

買収した会社をいとも簡単に業績回復させていく「永守マジック」は決してマジックではなく、ほとんどの会社で当たり前に出来ていないことを、徹底してやりきっただけのことかもしれません。

稲盛和夫氏にしても永守重信氏にしても、名経営者と言われる人たちに共通しているのはどんなに会社が成長し自分の立場が変わっても「驕り」を決して持たないところです。立場が変わっても、油断することなく、常に目線を変えずに仕事を続けられるというのは、出来そうで出来ないことです。

永守氏の3大経営手法は、大企業でなくても当てはまるやり方です。新しいビジネスに積極的にチャレンジし、経費を収入の範囲でしっかり管理し、問題が起きたら細かく分析して、解決していく。名経営者とは、当たり前のことを当たり前に続けられる能力を持った人のことかもしれません。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年4月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。