三田ガーデンヒルズに「昭和バブル世代」が感じる不安

周辺物件と比べて圧倒的な割安価格で人気化している東京オリンピック選手村跡地の晴海フラッグ。それに続き、東京で注目されるマンションプロジェクトが三田ガーデンヒルズ(写真)です。

こちらは広尾ガーデンヒルズに続き、三菱地所と三井不動産がタッグを組んだ超高級物件として話題を呼んでいます。

部屋のタイプにもよりますが、坪単価は1,300万円に達するものもあり、一般販売されている日本のマンションでは史上最高額物件とも言われています。

確かに建物の外観は荘厳で、共用部分のインフラも充実しているようです。また、帝国ホテルのコンシェルジュサービスなど、差別化もしっかり行われています。

ただ、東京の中心部の超優良物件とはいえ、価格の高さが気になります。

晴海フラッグは、坪単価300万円前後ですから、ざっくり4倍です。

立地の違いや建物の仕様には違いがありますが、価格に見合った価値はあるのでしょうか?

一番狭いワンルームで1億円前後の価格は、さすがにケタ外れです。80平米程度の部屋でも価格は3億円を超えますから、普通のサラリーマンパワーカップルがローンを組んで購入できる価格を超えています。購入者層は、外国人や企業創業者などの一部の富裕層に限られると思います。

三田ガーデンヒルズに限らず、東京の高級マンションの価格は上昇を続け、もはや一般庶民には手の届かないものになってしまいました。

不動産会社の経営者の人たちに話を聞くと、資産性と希少性の高い物件として高評価のようです。他には無い立地とクオリティだから、広尾ガーデンヒルズと同じように価格は下がりにくいというロジックです。

その一方で、来年の日銀総裁交代を控え、金融緩和政策の継続にも少しずつ不透明感が高まっています。日本でも金利が反転すれば、住宅ローン破たんが増え、金融機関の融資姿勢が変化し、10年以上続いたマンションブームが終わるかもしれません。

このタイミングで発売される三田ガーデンヒルズ。今まで続いてきたマンションブームの「終わりの始まり」にならなければ良いのですが・・・。

そう心配してしまうのは、私が昭和バブル世代だからでしょうか?

いずれにしても、モデルルームの見学もしていないのに、あれこれ批評する資格はありません。まずは、時間を見つけて行ってみようと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年12月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。