朝日新聞が「解雇規制」を正面から取り上げられないわけ

自民党総裁選で労働者の解雇規制が争点の一つとなっていますが、中小企業の社員や非正規社員などが差別されている実情を無視して日本の解雇規制が厳しくないと主張する朝日新聞の評論が話題になっています。

日本の解雇規制は厳しい? 小泉氏の主張、国際指標から見ると 朝日新聞

朝日新聞社

朝日新聞はOECDの報告書を根拠にしていますが、解雇規制の項目でない指標を指して解雇規制は強くないと主張しています。

なぜ朝日新聞はそこまでして解雇規制は弱いと主張したいのでしょうか。この記事では大企業の正社員が組合に守られている一方で、中小企業の社員は解雇が自由であるという格差があるという現実に触れていません。

一部の判例やOECDの答弁などによる一般論を提示するよりも、朝日新聞は具体例として自社の実情を説明してほしいものです。

朝日新聞も問題の所在をわかっていないのか本筋に触れたくないのか。たぶん後者なんだと思われます。

そもそも会社がなくなれば解雇規制もなにもありませんが、不動産で穴埋めし続ければいいと考えているのかもしれません。

しかし肝心の小泉氏自身も解雇規制の問題の所在を理解していません。解雇規制は政治の問題ではなく裁判所の問題です。

朝日新聞の立場を理解すればなぜそのような差別的な論陣をはれるのか理解できます。

朝日新聞を辞させたら辞めさせたで恨みも大きいし社会への悪影響も大きいようです。たしかにこういった人たちにリスキリングは必要かもしれません。

OBOGも含め朝日新聞はリベラルという原点に立ち戻ってもらいたいものです。

年功序列と終身雇用という日本の雇用制度が差別の原因になっているにもかかわらず、それを隠して正社員の既得権を守るために「日本の解雇規制は厳しくない」と主張する朝日新聞にジャーナリズムの良心は残っているのでしょうか。