なぜワインは日本酒より遥かに高いのか?

自他共に認めるお酒好きですが、中でも良く飲むのかワインと日本酒です。

ワインは単体でじっくり飲むことがありますが、日本酒はほとんどの場合、食中酒として食事に合わせて飲んでいます。

最近はワインと日本酒の両方が飲める飲食店も増えてきました。しかし、この2つの値段はかなり違います。

ワインの場合、産地国にも寄りますが750ミリリットルのボトルで、最低でも6000円から7000円位は出さなければなかなか良いワインは手に入りません。

飲食店での価格は小売り価格の3倍程度が基本ですから、飲食店で注文すると20,000円以上のワインになってしまいます。

さらに高級のものになれば、1本10万円を超えるものも珍しくありません。ワイン好きの中には1本100万円を超えるようなブルゴーニュやカリフォルニアの超高級ワインを飲む人もいます(私は飲みませんが・・・)。

ところが、日本酒になると、1.8リットルの一升瓶でも3000円位でも充分おいしいものが手に入ります。

しかも、私は純米大吟醸のようなコメの磨き比率の高い高級なお酒はあまり好きではありません。それよりも、醸造用アルコールを添加したような「アル添」と呼ばれるグレードの低いお酒の方がキレが良く食事に合うので好みだったりします。

自分の好きなワインと日本酒を比較すると、価格に10倍以上の差が出てきてしまうのです。

ワインはぶどうの品質や製造工程のきめ細かさによってクオリティーが大きく変わっていくように思います。テロワールと呼ばれる土壌や気候と造り手の違いが大きく影響するのです。

それに比べ、日本酒で最も大切なのは水だと思います。もちろん日本酒もワインと同じように米の品質や仕込みの技術も大事なのかもしれませんが、水質による影響が圧倒的に大きいと感じるのです。

だから豊かな水の恵まれた日本ではおいしい日本酒がリーズナブルな価格で作れるという訳です。

私はワインの好みがはっきりしています。白はシャルドネかリースリング、赤はピノノワールを飲むことが圧倒的に多くなり、他のブドウ品種は積極的には飲もうとは思いません。日本酒はコメの品種よりも蔵元による個性に多様性があって、まだまだ知らない銘柄がたくさんあります。

どちらも「勉強」するのではなく、自分が好きな銘柄を見つけてそれを楽しむ。そんな付き合い方をなるべく長くできるようにしたいと思います。

shironagasukujira/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年10月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。