夜の銀座で路上タクシーが停まらない「昭和な理由」

銀座からタクシーに乗って帰ろうと思い、路上を走っている流しのタクシーを呼び止めると、運転手さんが窓を開けて「あと10メートル先で乗ってもらってよいですか?」と少し先に車を出してから乗せてくれました。

理由を聞くと、銀座5丁目~8丁目では平日の22時~25時(深夜1時)までの間は指定乗り場以外では乗客を乗せることはできないというルールがあるからだそうです。

どうやら東京タクシーセンターという東京のタクシー業界の統括団体が管理を行っているようで、指定乗り場以外で乗車させると運転手が減点されて、違反点数が増えると講習の受講義務や優良ドライバーの取り消し、さらには事務所の評価にも影響するようです。

だから規制エリア外に車が出てから乗せてくれたという訳です。

この制度は高度経済成長期に、タクシー渋滞が発生して悪質なタクシードライバーが乗車拒否をしたことから出来た「昭和なルール」です。今や終電が終わってから深夜に遠距離タクシーで帰宅するような人は珍しくなりました。

11時を過ぎると銀座の街も閑散としていますし、流しの悪質ドライバーもほとんどいません。もはやタクシー事業者にも利用者にも必要の無い規制だと思いますが、廃止されることは無いのでしょうか?

銀座の乗り場に限らず、タクシー業界は旧態依然とした「昭和なルール」が未だに残っています。

その最たるものが「ライドシェア規制」です。日本国内でUBERやGrabのようなサービスが広がらないのは、タクシー業界の圧力があるからだと言われています。その結果、地方では運転手不足問題が発生し、東京では固定料金による自由競争が阻害されています。

「日本版ライドシェア」とは、本来のライドシェアとは別ものです。

例えば、日本で提供されているUber Taxi(ウーバータクシー)は、Uberと提携をしている日本のタクシー会社が配車を行うサービス。実体はタクシーと同じです。

国民民主党には「103万円の壁」の次にライドシェアの完全解禁に向けて動いてもらいたいものです。

mbbirdy/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年11月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。