「178万円を目指して来年から引き上げる」この日本語の解釈について

驚いたのが安倍昭恵さんがトランプ氏、メラニア夫人とフロリダの私邸で会食をすると報じられたことです。石破氏がトランプ氏との面会を断った「大統領就任までは国家元首と会わない」という理由を真に受ける人はいないでしょう。しかし、政治家ではない安倍昭恵さんと会食をするのは昭恵氏が会食後、どういう展開をするかも計算したのでしょう。会食の席でどんな話題がでて誰が何を述たかは石破首相としては対米外交を占う意味で一言も漏らさずに報告を受けたい気持ちだと思います。思うに、トランプ氏は調整型の人は好きではありません。ブレイクスルーができる人を求めています。故に石破氏ではなかったし、昭恵氏に何かを託す気がするのです。

では今週のつぶやきをお送りします。

そろそろ2025年の相場を占うと言いたいところですが…

12月も中旬となれば少なくとも投資家の目は「どうなる2025年」でしょう。しかし、正直、これを占うのは例年のような「前年のベクトルを辿る感じ」にならない気がします。1月にトランプ氏が大統領に就任した時、何を言い出すのか、それに対して相手方はどう立ち向かうのか、最終的にトランプ氏の意向通りになるのかなどアメリカを取り巻く話だけでも読み切れないのです。その上、韓国やフランス、ドイツの内政の混乱、シリアを中心とした中東和平の行方など国際情勢は読みにくくなっています。中国は個人的には全般が悪い中で政府の大型景気刺激策が出ましたので内需を下支えするとみています。

もう一つ読みにくいのがAIと半導体関連。要は世の中AIブームなのですが、これを収益モデルにできているところがほとんどないのです。AIを取り込む企業は多額の先行投資をしていますが、それが企業収益にどう結び付くかこの部分の検証が進んでいません。また将来的に投資余力がある企業とない企業で格段の差がつく可能性を市場がどう評価するかもわかりません。半導体は設計のアメリカ、装置の日本、半導体製造の韓国と台湾という仕分けになっています。この一蓮托生が吉と出るか凶と出るか識者によっても見方にかなりばらつきがあるように感じます。

もう一つは金利などの金融政策です。カナダが今週再び0.50%のジャンボ利下げをしました。理由は思った以上に景気が悪いのです。先週末いつも出るイベントに出店していましたが財布のひもの固さに出店していた仲間たちと一様に「今までで圧倒的にサイテーの売り上げ」と嘆いていました。ただアメリカも含め高金利で個人の家計が痛んだ人と更に稼いだ人の二極化が見られ、世の中の景気すら一言では言えない状況になって来たとみています。個人的には25年の市場は慎重に見ていきたいと思います。

紀州ドンファン死亡事件って何だったのだろう?

ワイドショー的に言えば紀州ドンファンの話はかつてのカレーヒ素事件と並ぶ和歌山県二大事件ですが、紀州の話は見事に盛られていて、聞いている方はほぼ振り回され続けたような気がします。これでは東野圭吾の推理小説よりリアリティがあって「最後の2ページで大逆転!」そのものだったと思います。もちろん、今回の裁判員裁判の判決は全てではありません。検察側が控訴すればまだこの続きはあります。

私は元妻の須藤氏がどういう立場でドンファンこと野崎氏に接触したのかを再度、冷静に考える必要があると思います。須藤氏がそもそも金の亡者で金のためなら何でもしてきた人生だったところに野崎氏と契約結婚をしたことでワイドショーも視聴者も想像力を膨らませました。須藤氏と野崎氏を結ぶものは月々のお手当100万円だけなのです。それさえもらえれば須藤氏は特段不満がなかったように見えるのです。契約結婚だろうが妻である以上、資産はいずれ転がり込んでる手筈なのです。ただそれを野崎氏が死ぬまで待てないので覚せい剤をどう使わせたのかが焦点です。

もう一つは須藤氏が完全犯罪を企てるほど賢いのか、であります。失礼ですが、そこまで計算ずくの行動をとれたとは思い難いのです。また唯一の信頼しうる家政婦さんが認知症で証拠能力が極めて低い点がこれまたコトをややっこしくしました。裁判員さんが長時間、大量の資料に基づき、判断したことは一定の意味合いがあるのでしょう。偶然の死が絶対にないとは言えません。推理小説的には最後の2ページで大逆転があったわけですが、最後の2行で思わせぶりのセリフがちらっと垣間見えるような気もしないでもありません。須藤氏の裁判所で見せた涙の色は安堵からか、ストレスからの解放なのか、嬉しさなのか、ここを検察がどう分析するか、その出方を待ちたいと思います。

「178万円を目指して来年から引き上げる」 この日本語の解釈について

政治家というのは言葉遊びが大好きで断定せず、煙に巻くような表現をよく使います。私はカナダというゴリゴリの契約社会で長く育っているので言葉があいまいになることを避け、政治家に限らず誰が読んでも一目瞭然、明白な記述であることを前提とする社会にいます。ところが日本の場合、特に自民党の傾向としてどうとでも取れるような文言をわざと多用し、その解釈についてあぁでもない、こうでもないというフレキシビリティを持たせることは大いにあります。

玉木雄一郎氏 国民民主党HPより

今回の103万円の壁について自民公明国民が「178万円を目指す」と発表した時、私は非常に強い違和感を持ったのです。まさか自民が178万円をすんなり飲むはずがない、と。国民民主は178万円一択しかないので極端な話、177万円でも満足しないのです。(満足と三党合意とはこれまた違います。)自民としてはキャスティングボートを取られた以上、ここは国民民主に良い思いをさせ、むしろ立憲苛めをしたほうがよいだろう、と考えた節はあります。ここで想定外の爆笑だったのが日本維新の前原共同代表の手のひら返しの補正予算案妥協であります。前原氏が共同代表になると聞いた時、また面白ことが起きるぞ、と楽しみにしていたのですが、早速やってくれました。

結局、この2つの政治喜劇を見ているとなんだかんだ言っても自民党の方にすり寄っていく野党が見えるのです。そして立憲民主、野田代表が冴えないのです。思うに正攻法で真面目過ぎるのでしょう。玉木さんのようなやんちゃができない(もっとも彼はやんちゃをやりすぎて3か月間のお目玉を食らったわけですが)し、前原さんのような宇宙人でもないのです。で、「お前の178万円解釈はどうなのだ」と聞かれれば「そんなのゆっくり何年かかけて段階を経る時間稼ぎをしたいのは目に見えている、と考えます。自民党なんて1年後の戦略より目の前の与野党議論をまとめることが最優先なのです。

後記
東京で所有する不動産の中に借地権物件があります。その地主がたまたま東京にいる私にアポなしで突然会いに来ました。「以前、お願いしていた固定資産税増大による地代の引き上げのお願いは今回は見送ります」と。ほう、ずいぶん物わかりのよい爺様だなと。そこで私は耳もとで悪魔の囁きをします。「地主さん、そろそろ底地、売りませんか?底地権なんて今時相続された方が困りますよ。現金の方がずっとうれしいって」と。「私も84歳だからなぁ、そうだなぁ、それもいい話だなぁ」。そこで追い打ちのように「底地権売買、不動産屋を通さずに直でやりましょう、司法書士に登記の方をお願いすれば不動産屋の手数料はかからないですよ。書類は私が全部作れます」と。地主はニコニコ顔で帰って行きましたとさ。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年12月14日の記事より転載させていただきました。

アバター画像
会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。