S&P 500は目が回るようなイベント週に

S&P 500は連日の過去最高値更新となった。火曜7/22だけは半導体を中心に調整したが、引けレベルではS&P 500ベースではほぼ無傷で、日本時間7/23水曜朝一に日本との通商合意がサプライズで発表されるとリスクオンが加速した。

決算については7/23水曜引け後のアルファベットは無事通過というところで、どうせ悪いと思われていたインテルは相変わらず悪く、この週の半導体セクターはアンダーパフォームした。GMは関税の影響で滑ったが指数レベルでは影響が出なかった。週末の間にEUとの通商合意も発表されており、第二解放の日のイベントリスクは低減された。

1日2%どころか、1日1%の下落もない日がかなり続いている

利下げが控えている中で株式バブルを警戒する声も見られ始めた現に投機色が少しずつ濃くなってきている個人投資家の買いは企業の自社株買い並みに上昇を主導しているそれに対してGSの顧客等が逆張りショートを入れている

個人投資家がミーム株を追い掛けたからと言って必ず暴落するというわけではない。投機的取引が増えた後は2、3年レベルのリターンは悪化するものの、短期リターンはむしろ平均以上である。従ってショートが焼かれるリスクは大きい。ただ2021年にミーム株を追う時に財布にされたGAFAMが伸び悩んだ記憶もそれとなく残っている。

悪名高きSPAC調達が再び増えている。


DBの統合ポジショニングは中立から強気ゾーンに入りつつある。Volコントロールの買いが相変わらず激しいが、もう少しで過去の天井圏に張り付くことになる。

リスクパリティは主役の座から離れて久しいが、4月に切らされたポジションをまだ復元していない。60:40ポートフォリオが疑問視される中、60:40で上を買って下を売るだけのこの戦略はもう流行らないだろう。

MSCIワールドの方となるが、フォワードEPSは6月の停滞を経て再び上向きになっている。もっとも指数はもっと先を行っており、すっかり先取りされている

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決算期は今のところ例年よりもビート率が高い今週はラージテック・半導体を中心とした重い週であり、前者は4-6月期のドル安もあって、他の方面のヘッドラインでよほど先に上がらない限りは「決算で指数ごと暴落」とはならなそうな雰囲気に見える。

後者はTSMCがよかったもののTIとインテルが悪く、「決算で雰囲気好転」は8月組まで持ち越しか。決算を通過すると自社株買いのブラックアウトも終わる。

決算だけでなくマクロの週でもある。GSの日次の事前警戒を見ると30日水曜のFOMCに少しだけ警戒、ISMと雇用統計が重なる8/1金曜にも少しだけ警戒が入っている。更に8/1は関税猶予のデッドラインでもあり、ディールに到達しなかった経済体からの関税徴収が始まる。

目が回るほどイベントが集中しているが市場は目を瞑って突撃する構えである。四半期国債発行計画も控えているが、関税インフレの証拠が手元にないFOMC共々、どちらかというとゴルディロックス・イベントになりやすいだろう。仮にこれらのイベントで日次1%以上の値動きが出たら、サプライズになったものとして対応することになる。

8月に入るとすっかりシーズナリティが暗転し、VIXが上がりやすい季節に入る

NAAIMは楽観ながらも一進一退が続いており、なかなか総楽観にはなってくれない。

テクニカル。火曜の調整は週足サポート6200に遠く届かず、週足は二本目の下ヒゲ陽線となる。6280が新たに週足サポートとなる。

シーズナリティは徐々に悪化しつつあるものの、6280さえもブレイクしてくれないなら、シーズナリティ・ショートは焼かれに行くようなものである。6280がブレイクされて初めてロング解消を考えることになるが、それまでは引続き押し目買いで問題なさそうである。

レバレッジをかけて高値でフライングすると市場参加者がイベントヘッジを思い出した時に持っていかれそうであるし、もし8/1を前に既に大幅に上昇していたら8/1を前に撤収する選択肢も出てくるだろう。


編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年7月30日の記事を転載させていただきました。