トランプ大統領は中国とどう対峙するのだろう?:日本の政権と外交はどう反応するか

9月23日から習近平氏がアメリカの国賓としてワシントンを訪問します。この国賓という意味を考えてほしいのです。トランプ氏1.0の時は米中は経済戦争の真っただ中、そして2.0になってからもトーンは落ちたものの対中国政策は変わったとまでは言えませんでした。しかし、それが明白に変化したと思われたのが今年5月13日にトランプ氏が中国で習近平氏と会った時でした。もちろん、トランプ氏は敵陣に乗り込んだのでいつもの放言もできないし、強気一辺倒とはいきません。多少の気遣いもあったでしょうし、文化的ギャップはトランプ氏が最も苦手としている部分で、昔からアジア系は不得手でありました。

トランプ大統領と習近平国家主席 ホワイトハウスXより 2026年5月14日米中首脳会談

それらを値引いたとしてもトランプ氏があそこまで戦略変化をさせたのはトランプ氏を取り巻く外交が敵ばかりになってきたことへの焦りがあったとは言えなくないでしょう。二大大国とかG2と言わるその意味合いは両国が喧嘩をすれば冷戦となりますが、手を結べばデタント(緩和)となり、地球儀ベースで両国でうま味をシェアすることが可能になります。私はトランプ氏があえて後者、つまり緩和政策に転換した可能性は大いにあるとみています。

ではトランプ氏の緩和とはどこまでを許すのでしょうか?

今回の習近平氏の訪米は中国の主要企業のトップが同行します。特に注目しているのがBYD,シャオミ、CATLあたりで明らかに中国EVのアメリカ輸出を念頭に置いています。ご承知の通り、中国国内では様々なメーカーが乱立、EVを作りすぎ、また激しい価格競争が起きたため、業界全体に余力がなくなってきています。その中でEV販売網の海外拡大は絶対的条件であり、既に欧州をはじめ、日本、カナダでも始まっています。

その中で先般トランプ氏が中国製EVについて「アメリカ国内で作るなら認めるかも」という趣旨の発言をしていますので今回の首脳会談の目玉の一つになるとみています。

併せて双方の貿易関係全般について緩和的方向で見直す可能性は大いにあるとみています。それはアメリカ国内産業の輸出力がカナダへの規制も相まって鈍化するのが目に見えており、その穴埋めを中国市場に求めざるを得ないということかと思います。端的に言えば大国と敵対関係になるのは多大なエネルギーがいるからそこは今は避けたいということであります。

次いで外交ですが、目先最大のイシューは中東関係だとみています。なぜならこのテーマは話しやすく、落としどころも作りやすいからであります。多分ですが、イランに停戦を呼び掛け、フーシ派に武器供与をするなと言った共同声明が出るのでしょう。次いで北朝鮮問題ですが、これは割と注意深く話が行なわれると思います。トランプ氏は金正恩氏と会いたいと考えているようですが、金氏は会えばディールをしなくてはならない、つまり、それは一定の妥協を伴うものである、よって今、習近平氏とプーチン氏との関係を考えるとそこに難しい矢を刺されたくないと考えているとみています。よって習氏はそのあたりを斟酌した上で絶妙な対応を目指すとみています。(つまりトランプ氏が金氏とすぐに会わせないようにする、です。)

もっぱらの関心事は台湾だと思いますが、私の予想ではほとんど話題に上がらないだろうと考えています。それは習氏が5月の会談で「国内問題に口を出すな」とくぎを刺しているからです。トランプ氏は中国にとって台湾問題は最もセンシティブなイシューであることはわかっており、今、特に目立った展開になっていない中でわざわざ話題に上げる必要性を感じないとみています。

もしかすると一部の日本人の方はこういう展開になるなら「トランプ氏の腰砕け!」と怒るかもしれません。ですが、外交ってこんなものなのです。日本は昔から欧米の外交が理解できないということがしばしば起きているのですが、理由は「手のひら返し」が往々にして起きるからなのです。この手のひら返しとは何か、と言えば国家の利益を考えた場合、与件が変われば結果も変わるという融通のよさなのです。これは日本が地中深く根を張って、梃子でも動かない思想や主張とはかなり違います。

習近平国家主席(中国共産党新聞)高市首相(首相官邸)とトランプ大統領(ホワイトハウス)

日本の外交は欧米追随型外交なのですが、私が口を酸っぱくして再三言っている「日本の自立」とは「外国はひょんなことから裏切るよ」という意味なのです。「昨日の友は今日の敵」というでしょう。私が日本の中国外交姿勢に懸念を示しているのは日本が頑固になりすぎると損をする、ということであります。まずは米中首脳会談の行方を見てみましょう。その時、日本の政権と外交はどう反応するか見てみたいと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年9月21日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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