手術後のレオ14世の和平ディ―ルを見よ

ローマ教皇レオ14世は13日、肺に初期段階の結節を見つかったためにローマのジェメッリ病院に入院し、同日、悪性腫瘍が見つかったので右肺下葉の切除手術を受けた。ルイージ・カルボーネ医師とステファノ・マルガリトーラ教授の報告によると、16日午前に実施された血液検査および胸部X線検査の結果、教皇の全体的な容体が順調に改善していることが確認された。現在も呼吸療法が継続されている。

退院直前の17日正午には、病院10階に特別に用意された部屋で、病院スタッフと共にミサを執り行い、聖体拝領も行った。そしてバチカンも戻った18日は教皇は体調を考慮し、大規模なミサの執り行わず、正午にバチカンの使徒宮殿の窓からサン・ピエトロ広場に集まった巡礼者らと共に「お告げの祈り(アンジェラスの祈り)」を唱え、メッセージを述べた。その中で世界中から寄せられた自身の術後の回復を願う祈りに対して「支えを感じた」と深く感謝を示し、今後は体調を見ながら「徐々に活動を再開する」と語りかけた。

プーチン大統領と電話会談するレオ14世、バチカンニュースから、写真はANSA通信

ところで、驚いたことは、レオ14世は16日、病院の病室からロシアのウラジーミル・プーチン大統領に電話で会談しているのだ。バチカン広報部の発表によると、教皇はプーチン大統領との電話会談で、ウクライナ南部のヘルソン州に位置するオレシュキ市への人道支援を強く求め、食料や医療支援の搬入を可能にし、民間人が自発的かつ安全に避難できるようにように停戦を求めた。そして平和と対話に向けた聖座(バチカン)の取り組みを改めて強調している。電話会談はレオ14世の発案で行われたものだ。

ピエトロ・パロリン国務長官(枢機卿)が説明したところによると、教皇は、包囲下にあり、約2,000人の民間人が窮状の中で耐え忍び、緊急の支援を必要としているオレシュキという都市のために、とりなしを求めたという。キエフ駐在の教皇大使ヴィスヴァルダス・クルボカス氏は、通信社SIRに対し、教皇のこの行動について「極めて重要な行為であり、特に、緊急の人道的問題に関わるものであるという点を踏まえればなおさらだ」と語っている。

バチカン広報室が19日午後発表したところによると、教皇はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも電話で会談している。会談では、ここでもヘルソン州オレシュキ市における緊迫した人道状況が中心的な議題となった。その中で教皇は、人道的な停戦を実現するための取り組みについて言及した。

レオ14世と電話会談するウクライナのゼレンスキー大統領、2026年10月19日、ウクライナ大統領府から

ウクライナのゼレンスキー大統領は「教皇ご自身にとって困難な状況にあるにもかかわらず、ウクライナのことを心に留め、国民のために祈ってくださっていることに感謝する」と述べた。大統領は教皇に対し、ロシアによる情勢の激化や、ウクライナの都市や地域社会に対するロシアの絶え間ない攻撃の状況について、詳細に説明したという(ウクライナ大統領府サイト)。

教皇レオ14世は、その在位の当初から、ウクライナにおける敵対行為の停止を繰り返し求め、紛争当事者に対して外交の道を追求するよう促してきた。9月6日の「アンジェラスの祈り」をはじめとするこれまでの声明や演説において、教皇は民間インフラへの攻撃を一貫して非難し、人道危機を緩和するために停戦するよう呼びかけてきた(バチカンニュース)。

手術明けの71歳の教皇のエネルギッシュな行動には驚かされる。プーチン大統領は9日、ウクライナの和平問題で、米国、ロシア、中国の3国首脳会を提案したが、ウクライナ問題でウクライナ代表が参加しない首脳会談でどれだけ現実的な解決が可能だろうか。一方、レオ14世は電話会談だが、ロシアとウクライナの両国首脳と会談し、現在危機にあるオレシュキ市の人道支援問題で停戦を両国指導者に直接求めたわけだ。非常に現実的なステップだ。

レオ14世が癌手術を受けた直後、休む間もなくプーチン大統領とゼレンスキー大統領に電話してオレシュキ市の救済に乗り出しているのを聞いて、「米国人レオ14世は入院中、静かに自らの死を見つめていたのかもしれない。同時に、その胸中では『命ある限り、持てる力のすべてを注ぎ、ペテロの後継者としての使命を果たしたい』と改めて決意されたのではないか」と考えた。

そのような意味合いも含めて、このコラムのタイトルを「手術後のレオ14世の和平ディ―ルを見よ」とした次第だ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年10月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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