突如襲ってきたPHP問題、なにが大変なのか?

突如発覚したPHP問題。個人的感覚では大半の方々が「へぇ、なんか問題が起きているらしい」で、ほとんど興味すら示していない気がします。だいたいPHPと聞けば松下幸之助氏が作ったPHP研究所を思い浮かべる人もいるはずで大半の人は初めて聞く言葉だと思います。ですが、この問題はウェブサイトを閲覧するすべての人に影響を及ぼす問題になり得ます。

JaruekChairak/iStock

PHPはPersonal Home Pageの略で一言で言えばウェブサイトを作るための言語です。それを利用して多くのウェブサイトが世界規格で展開されていますが、その多くはワードプレスという基盤です。ワードプレスはNPOで誰か特定の会社が所有しているわけではなく、オープンソースで世界中の専門知識がある人たちの協力によって無償で簡単に作れるようなシステム基盤に支えられています。そのため世界のウェブサイトの3/4はこのワードプレスベースで作られているとされます。

ウェブサイトは世界に15億サイトぐらいあるらしいのですが、そのうち、実際に稼働しているのは2億サイト程度とされます。それでも2億、そしてその3/4がワードプレスベースとなるとその規模をご理解いただけると思います。今回、その基盤となるPHPに重大なる瑕疵が見つかっています。

その瑕疵を一言で説明するとある人がウェブサイトのあるページを閲覧するとメモリを使います。閲覧者が見終わったらシステムはそのページをきれいに片付けます。が、今回見つかった瑕疵はメモリ不足で片づけが出来なかったり、片付けたはずがゴミが残ってしまい、次の閲覧者に深刻な影響を与えることができるのです。

では多くの事業者、個人経営者がもつウェブサイトはどう危険なのでしょうか?「私のウェブサイトはインフォメーションサイトだから取られるものもないし、ほっておくわ」と考える人も多いでしょう。ところがハッカーは訪問者があなたのサイトに訪れた瞬間、ウィルス感染をさせ、無数の詐欺メールを送り出す仕組みを埋め込むこともできます。あなたは言うでしょう。「それはワードプレスの問題でしょ」と。ところが上述のようにワードプレスは会社ではなく地球上の人が共通で無料で使える仕組みであり、今回の責任はワードプレスに押し付けようがないのです。つまりきちんとメンテナンスをしていなかったあなたが悪い、ということになります。

さぁ、ではどうするか、です。まず、ウェブサイトを自作したり業者に昔、作らせて放置している人もいるでしょう。その場合、ワードプレスのアップデートをしているかどうかなのです。現在、対応しているのはVr. 8.2-8.5までです。それ以前だとアップデートも出来なかったりアップデートした途端にウェブサイトが壊れて使い物にならなくなるケースが生じます。

よって今回の対応は限られてきます。① きちんとバージョンアップされているなら修正パッチを使って正常化させる、② 既存のウェブサイトを閉鎖して新たにワードプレスベースでウェブサイトで作る、③ HTMLベースのウェブサイトを作る、④ AIに作らせる

といった選択だと思います。(それぞれ長短があります。)いずれにせよ、大事なのは作るだけではなくメンテをする必要があるということです。

メンテ?誰が?という質問はあると思います。だいたいウェブサイトのメンテナンスでお金かけたくないと思う気持ちはよくわかります。しかしシステムのアップデートは日常茶飯事で行われているので専門の人が目を光らせていないとできる代物ではないのです。それいくらなの?という質問もあると思います。カナダでは月あたり数万円ですから日本でも同様だと思います。つまりウェブサイト運営も極端な話、サブスクのようにずっと定常的にお金がかかるということなのです。

次の問題はウェブエンジニアは他人が作ったワードプレスのウェブサイトは基本、触らない、つまり修正はしません。なぜならどこに何が隠れているかわからないので瑕疵が大きく、リスクが取れないからです。よって「10年前に頼んだ業者さんがもういないのでこれ、面倒みてくれますか?」といってもNOの返事になるか、法外な見積もりをもらうかのどちらかになると思います。

もう1つはウェブサイトの専門家なんてそんなにたくさんいない、であります。このような問題が起きれば専門家や業者への問い合わせは膨大なものになっていると察します。作業はワードプレスがVr. 8.2より新しければクリックをすれば完了させることができますが、それ以前のバージョンの場合、手作業が主体だと思うので手間もコストも膨大であり、何時まで待っても自分のところの面倒を見てもらえないという問題が生じます。

SFチックな話をすれば世界ベースでこの問題を原因としてウィルス、不正アクセス問題が止まらないならサーバー会社や検索エンジンの会社が地球儀ベースで不正の温床となるウェブサイトを強制的に全部遮断する選択肢も当然出てくると思います。今回の問題は修正パッチでどうにかなるといったわけではなく、非常に奥が深い問題を内包しており、そう簡単に問題は解決できない致命的な欠陥があるとみています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年10月26日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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