テクノロジーで簡単に変わる世の中の価値観

内藤 忍

テクノロジーの進化は、私たちが当たり前だと思っていた価値観をあっという間に書き換えてしまいます。産業革命やインターネットの登場と同じように今もまた価値観が大きく変わる時代の大きな転換期に立っている気がします。

例えば、AIの活用が広がることで便利になる反面でシステムの問題点や脆弱性が一瞬で見つけ出されるようになってしまいました。

それに伴い個人情報の漏洩やシステムダウンと言ったトラブルが頻発しています。

その結果、デジタルデータに対する信頼性が低下し始めています。

デジタルデータをネット上に保管することの危険性に留まらず、デジタルデータそのものが本当に正しいものなのかどうかという疑問を持つ人も増えていくことでしょう。

もし今後ハッカーによって銀行預金のデータが書き換えられたり流出したりするような事態になれば、私たちが依存している金融システム全体の信用が揺らがことになります。

そうなれば資本主義社会の信用によって成り立っている有価証券や暗号資産のようなペーパー資産やデジタル上の資産よりも、実際に手に触れることができる実物資産の価値が高まっていくことになるかもしれません。

単なる記号でしかないデジタルデータへの不安が増すほど、形あるものの強みが再評価されるのは自然な流れと言えます。

わかりやすく言えば、銀行預金より手元にある現金。さらには、現金よりも金(ゴールド)と言う価値観です。

また、自動運転が今後急激に広がれば移動や不動産の価値に対する常識も変わることになるでしょう。

自動運転で移動のハードルが下がれば、これまでの路線バスや電車のような人が運行時間に合わせて利用する交通手段の存在価値は相対的に下がっていきます。

あるいはこれまで運転を諦めていた高齢者の方々でも、自動運転車を使って自由にどこへでも移動できるようになります。

そうなれば、不動産の評価軸もガラリと変わります。

「駅近」という立地の価値が薄れ、単なる物理的な距離や過ごしやすさによって不動産の価値が決まる時代が来るかもしれません。

テクノロジーによってこれまでの常識や価値観が大きく転換するのはこれまでも珍しいことではありませんでした。

そんな時代の転換点では、先を見通す力とそれを行動する力の有無によって将来に大きな違いが生まれてきます。

既存の価値観にとらわれない柔軟な発想を持ち続けなければいけません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年10月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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