旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える制度を設けた改正皇室典範について、漫画家の小林よしのりさんが10月26日、国を相手取り、改正典範の無効確認や損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。家柄による差別を禁じる憲法14条に違反するなどと主張している。

小林さん(右)朝日新聞
要旨を 旧宮家の子孫に限るのは「門地による差別」か
改正皇室典範は皇族数の確保を目的として7月に成立し、10月24日に施行された。1947年に皇籍を離脱した旧11宮家の男系男子で、配偶者や子がいない15歳以上の人を養子に迎えることを可能にした。小林さん側は、有識者会議で違憲の恐れが指摘されていたにもかかわらず、国が十分に対応せず成立させたとしている。
問題となるのは、現在は一般国民である旧宮家の子孫について、特定の血筋を理由に皇族となる道を設けることだ。皇位の世襲を認める憲法の下で、この区別をどこまで許容できるのかが問われている。
世襲の皇室制度と平等原則の関係
もっとも家柄による区別という理由だけでは、直ちに違憲と結論できない。国会の議論では、皇位の世襲を定める憲法2条は、法の下の平等を定める14条の特則に当たり、男系男子による継承を定める制度も合憲だとする立場が示されてきた。
他方、一般国民から皇族になる対象者を血筋で限定することについては、14条との整合性を明確にする必要があるとの意見も出ている。皇室制度に世襲という例外が認められることと、その例外を皇族以外の人にどこまで広げられるかは、慎重な説明を要する問題である。
裁判で違憲判断に進めるか
もう一つの焦点は、小林さん自身の権利侵害をどのように示すかだ。小林さんは施行日の公式ブログで、改正への反対や国益の損失を訴えるだけでは裁判には勝てず、自分が個人として被害を受けたことが重要になるとの認識を示している。個人的な事情は陳述書に記したとしている。
今回の提訴によって、裁判所が改正典範の合憲・違憲を判断するとは限らない。まず訴えが司法判断の対象となるか、その上で、どのような権利侵害や損害が認められるかが問題になる。
皇族数の減少に対応する制度の必要性と、その制度が憲法に適合するかは、ともに検討されなければならない。今回の訴訟は、皇室の将来をめぐる政治的な対立に加え、世襲と平等をどう両立させるかという憲法上の問題を改めて突きつけた。







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