千代田区が三菱地所が立替開発する「億ション」について現在の100戸から200戸に増やす条件として5年間転売禁止を要請するという記事が出ています。

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私も長年不動産開発をやり、不動産事業を営む者としてこの提案の妥当性をしばし考えていたのですが、私見としては無意味だろうな、と考えています。
私がバンクーバーで不動産開発をしたなかでも傑作とされる物件は1999年に完成した2棟、合計100戸の物件でカナダに於ける億ションの走りとなったものです。特にそれぞれの最上階の物件は当時で5億円と4億円で当時のカナダの歴史で最高値での売り出しとなりメディアで盛んに報じられました。
なぜ、我々がそのような価格を付けられたかといえば「代替が効かない物件」だからであり、それだけのプレミアムを払ってでも住む価値があることが自明であったからです。バンクーバーの不動産はこの4‐5年はブームが沈静化していますが、それでもそれらの物件は今でも4倍ぐらいの価値になっています。
千代田区で開発する物件の場所はマル秘になっており、具体的にどの物件か想定できませんが察するに相当よい物件だと思われます。つまり、報道にあるような「億ション」どころか「5億か10億ション」ぐらいになるのではないかと思います。
不動産を生き物のように40年も見続けてきた者からすると圧倒的価値がある物件などそうあるわけではないのです。とすれば三菱地所の物件は「もの凄い物件」である可能性は高く、当然ながら「選ばれた200人」に売却されるのでしょう。しかも100軒は既存の物件の所有者に第一優先交渉権が付保されるのが当然だと思われるので一般人からすればもの凄い競争率になることは自明であります。
とすれば千代田区の心配、不動産フリッパーが儲けの手口とするというのを防ぐ方法はいくらでもあるはずなのです。それは売り手である三菱地所が客を選べばよい、それだけなのです。
私が開発した上述の物件で最上階ではないですが、100㎡以上のパティオがついた専有面積250㎡ほどの物件に対して2人の客がオファーを同時に入れました。1人は地元の医者で、1人は有名なプロバスケットボールプレーヤー。オファーが複数あることを知ったバスケットボールプレーヤーは最終的に私どもの販売価格に1000万円上乗せする逆提案を受けます。
私は当時販売責任者でしたが、慎重に検討し、地元の医者に定価で販売しました。理由はそこに住むことを前提で購入してくれること、バスケットボールプレーヤーは代理人とのやり取りだけで本人は一度も顔を見せなかったのです。高額物件の販売はある意味、売り手と買い手の面接なのです。私は特に建物完成後の住民が作り出すイメージと物件への愛を重視していました。そうなると必然的にバスケットボールプレーヤーは弾かれてしまうのです。
三菱地所も高級物件を販売する場合、相当の客選びをしているという話は聞いています。一方で、販売責任者は大手不動産会社のサラリーマンであり、三菱グループの関係からの「断れない客」を山のように抱えているはずです。ですが、私はそこで三菱の私情が入らないようにする「第三者委員会での決定」をするぐらいの思い切った改革をすればよいと思うのです。
デベロッパーの仕事とは作って、はい、さようなら、ではないのです。作り上げた物件の住民にどのような顔を持たせるか、これが重要なのです。もしもNOと言えない客とのしがらみ多いなら三菱地所が販売の最終決定をしないという選択肢すらあるのです。
では千代田区の要請は何故無意味なのか、ですが、上述の通り不動産は無限にどれでも価格上昇するものではないのです。ニューヨークでもロンドンでも同じだし、高額物件でも価格調整能力はあるのです。それと5年間販売禁止をさせる法的手段がないのです。
ただし、絶対ないとも言い切れません。私がもし、この問題に直面したら購入者に「5年間はリース、6年目に購入権が生じる」というスキーム型の提案ができなくはないと思います。もちろん、金持ちのおじさま方は「ふざけんじゃない、俺を誰だと思っているんだ!」と怒鳴りこまれるでしょう。しかし、もしも本当に5年間、同じ住民にまずは使ってもらいたいと思うならこのやり方で行けると思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年11月1日の記事より転載させていただきました。







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