厚生労働省が11月4日に公表した人口動態統計によると、2026年上半期(1~6月)に国内で生まれた日本人の赤ちゃんは32万458人となり、前年同期比0.4%増加した。上半期の出生数が前年を上回るのは2015年以来、11年ぶりである。

2025年の年間出生数は過去最少の約67万人だった。今回の微増を少子化の反転とみるのは早計だが、背景には2024年と2025年に2年連続で増加した婚姻数がある。なぜ結婚が増えたのだろうか。
【参照リンク】令和7(2025)年 人口動態統計月報年計(概数)の概況 厚生労働省

コロナ禍で先送りされた結婚が戻ってきた
最大の要因は、新型コロナウイルス禍で先送りされた結婚の回復である。
日本総合研究所の分析によると、2020年の婚姻数は前年比12.9%減少した。外出や会食の制限で男女の出会いが減り、経済的不安も結婚を遅らせた。

2023年まで低迷した婚姻数は2024年に増加へ転じ、2025年も回復した。コロナ禍がなければ数年前に結婚していたカップルが、遅れて婚姻届を提出したと考えられる。
1990年代生まれが結婚適齢期に
もう一つの要因は人口構成である。1990年代には出生数が年間約120万人で比較的安定していた。この世代が現在、結婚の多い20代後半から30代前半を迎えている。
厚労省の統計でも、2024年と2025年は男女とも25~29歳と30~34歳の婚姻件数が2年連続で増加した。
少子化対策の成果というより、過去の出生数の推移が現在の婚姻数に影響している面がある。

東京など大都市で婚姻数が回復
婚姻数の回復には地域差もある。日本総研の分析では、東京都などの大都市で大きく回復した一方、地方では減少が続いている。
都市部ではコロナ禍で縮小した対面交流や経済活動が再開し、出会いや交際の機会が戻ったことも背景と考えられる。
若年層の賃金上昇や雇用改善も結婚を後押しする可能性があるが、その寄与は明確ではない。
結婚が増えても少子化が止まるとは限らない
日本総研によると、結婚から第1子出産までの平均期間は2024年に2.8年となった。2024~2025年に結婚したカップルの影響は、2026年以降の出生数に現れる可能性がある。
しかし、結婚した夫婦が子どもを産む割合は低下している。婚姻数が増えても出生率が同じように回復するとは限らない。
今回の出生数の微増は明るい材料だが、年間67万人という水準は依然として歴史的な低水準である。
【参照リンク】鈴木 亘、八代 尚宏 現実的な配偶者の決定要因 ~結婚候補者の存在確率に関する定量的評価~ 内閣府
婚姻数の増加も、少子化対策の成果というよりコロナ禍からの正常化という色彩が強い。少子化の流れが本当に変わったかどうかは、この一時的な反動が一巡した後の婚姻数と出生数を見なければ判断できない。







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