男性育休の次の物差しは取得期間だ

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男性の育児休業取得率が5割を超えました。厚生労働省が7月31日に公表した令和7年度雇用均等基本調査で、男性の取得率は50.9%となり、前年度の40.5%から10.4ポイント上がりました。2018年度は6.16%でしたから、7年で大きく伸びています。

政府が「こども未来戦略」で掲げた民間の2025年の目標は50%です。取得率だけを政策や会社の目標に据える段階は、ここで過ぎたと私は考えます。

50.9%は「始めたか」を数えている

この率が数える対象は、2023年10月からの1年間に配偶者が出産した男性です。そのうち、調査時点の2025年10月1日までに育児休業(産後パパ育休を含む)を始めた人と、申し出ている人の割合が50.9%です。休んだ日数は問いません。5日で職場に戻った人も、半年休んだ人も、同じ1人として数えられます。

日数の様子は、同じ調査の別の表で分かります。こちらの対象は、2024年度に育休を終えて復職した男性で、取得率とは別の集団です。最も多いのは「1か月〜3か月未満」の30.3%で、「2週間〜1か月未満」の28.0%が続きます。

「5日未満」は6.8%、「5日〜2週間未満」は14.1%で、合わせると2週間未満は20.9%になります(筆者の計算)。集団が違うので50.9%の内訳として読むことはできませんが、復職した男性の5人に1人ほどは、2週間に満たない休みでした。

短く休むことを本人が選ぶ場合もあります。家計や仕事の事情もあるでしょう。日数を見る目的は、長く休みたい人が実際に休めているかを確かめることにあります。

制度も会社の目標も、まだ率で組まれている

2025年4月から、常時雇用する労働者が301人以上の企業は、男性の育児休業等の取得状況を毎年公表しなければならなくなりました。次世代育成支援対策推進法も、101人以上の企業に、両立支援の行動計画を作り直すときに取得状況の数値目標を置くよう求めています。公表するのは取得の割合で、数値目標で使う取得状況も取得率を指します。どちらの数字にも、休んだ日数は入りません。

政府の次の目標も率です。「こども未来戦略」は、2030年に民間で85%という取得率を掲げています。

取得率は、取る人を増やすことを目指す段階には合った物差しだと思います。ただ、率だけが目標なら、業務の調整が軽い短い取得を増やすほうが、目標には届きやすくなる面があります。85%に向かう次の数年も、物差しが変わらなければ、この偏りは続くでしょう。

次に測るのは期間と、戻ったあとの扱い

国も次の物差しを探り始めています。10月2日の労働政策審議会雇用環境・均等分科会(第92回)で、厚労省は検討項目(案)を示しました。子育て支援に取り組む企業を国が認定する「くるみん」などの基準に「男性の育児休業取得期間に関する基準の導入」を加えること、常時雇用する労働者が1000人を超える企業の公表項目に、取得率に加えて取得期間を追加することを、「どのように考えるか」と問いかけています。

同じ資料は、くるみんの取得率の基準を引き上げる案も並べています。率を上げる議論と期間を測る議論が、同じ場に出ています。10月26日の第93回でも同じ論点が続き、期間の基準の例として「1か月(28日)以上取得者の割合」が資料に挙がりました。

いずれも、まだ案として問いかけている段階です。期間が公表項目に加われば、対象の企業は取得率と並べて、取得期間も示すことになります。

期間を測れば、休みの長さに応じた仕事の割り振りや引き継ぎの準備が、会社の課題として見えやすくなります。日数は、多くの会社で勤怠の記録から分かるはずです。

もう一つ測りたいのが、休んだ人が戻ったあとの扱いです。元の担当に戻ったのか、休んでいた間の評価をどう付けたのか。取得率も期間の表も、復職した人の担当や評価がどう変わったかまでは示しません。

会社が記録していなければ、長く休むほど不利になる職場かどうかを、本人も経営者も上司の記憶に頼って推し量ることになりがちです。私が相談を受けてきた会社でも、取得した人数は集計していても、戻ったあとの担当や評価は記録に残っていないことがありました。企業は次に行動計画を見直すとき、取得率と並べて取得期間の目標を置き、戻った人の担当と評価を記録しておくべきです。

取得率を数える仕組みは、国の調査にも企業の公表にも、すでにあります。次に数えるのは、何日休めたかと、戻った人がどう扱われたかです。

【出典】

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