元旦の東京で不便なことは、飲食店の多くが閉店していることです。結局365日24時間営業しているチェーン店のお寿司屋さんに入りましたが、こちらも大混雑でお店のスタッフが完全にテンパっていました。休業しているお店は、せっかくニーズがあるのにビジネスチャンスを逃している。勿体ないことです。
元旦のお店の営業は是か非かという論点でこんな記事があることを知りました。元旦に初売りするビックカメラの石川勝芳執行役員が賛成の立場から、博報堂生活総合研究所の夏山明美上席研究員が反対の立場からそれぞれコメントしています。
記事の中で、元旦営業反対の意見として
「今の日本人は昔よりも忙しく、疲れている。流通や小売り、外食業界の方も元旦ぐらいは休ませてあげてほしい」
「業界団体などが率先して、一斉に休みをとるなどの対応が必要ではないか」
といったコメントをしていましたが、大きな違和感を感じました。
そもそも、元旦に一斉に休んだからといって、日本人の疲れが取れる訳ではありません。むしろ、電車の帰省ラッシュや道路の帰省渋滞で、休暇を取ってさらに疲れたと言う人も多いのではないでしょうか。
私自身、正月やお盆のように一斉に休む時よりも、むしろ平日にゆっくり休みを取りたいタイプです。実際、仕事のパターンも週末や祝日に偏っていて、平日に休むケースが多くなっています。その方がどこも空いていて予約が取りやすくストレスなく優雅に休暇を過ごすことができ、その方が疲れが取れます。
日本人にとって必要なのは、みんなで一斉に休むことではなく、休暇を分散することです。会社勤務の経験から言えば、有給休暇の権利があっても、それを自由な時期に行使できないから、仕方無くお盆や正月に「消化」していると言う人も実は多いのです。
また、業界団体が率先して一斉に休みを取るようなことになれば、消費者に対するサービスは低下します。元旦に休む休まないは企業経営の選択肢の問題であって、全体で統一行動を強制されれば、社会主義経済になってしまいます。
元旦の繁華街には多くの人が出かけています。六本木でもヒルズは営業していましたが、ミッドタウンはお休みでした。目の前にビジネスチャンスがあるのに、どちらが商売上手なのかは明らかです。
ブラック企業問題が昨年大きな社会問題になったことで、大手企業を中心に残業や休日勤務に対して神経質な対応をするケースが増えているようです。しかし、従業員の勤務条件について法令順守をすることと、元旦一斉に休むべきというのは、まったく関係の無い問題です。元旦に仕事をする人には、その後にしっかり休んでもらえば良いだけの話です。
元旦営業を一斉にやめても、ワークライフバランスは実現しません。やるべきことは、全員で同じ時期に休むことではなく、自由に休める体制を作っていくことだと思います。スタッフの確保や商品の確保など制約も多いと思いますが、元旦には、できるだけ多くのお店に通常営業して欲しいです。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年1月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。