林信行さんとの共著「アップルVS.グーグル」、韓国での発売がどうやら決まりそうです。
書籍の電子化が話題を集めていますが、こういう海外での発刊の速度やタイミングの高速化をみると、媒体が紙であれPDFであれ、それ自体は関係がない。
発信された情報の伝搬の速度や形式のバリエーションの多様化のほうが意味を為すのではないかと考えます。
さて、今日はNUIの話をします。
ナチュラルユーザーインターフェイスの略で、GUIを時代遅れにする、コンピューティングの革命の話です。
NUIは僕の造語ではありません。何かの文献か記事を読んだときに頭留めたもので、学術的には恐らく頻繁に使われているものだと思います。
NUIは、人間の五感を用いて行うコンピューティングです。GUIはアイコンとマウスとキーボードによるコンピューティングでしたが、NUIは例えば視線、脳波の動き、音声、指による直接操作、ジェスチャーなど、人間の自然な行為によるコンピューティングです。分かりやすいのはiPadやiPhoneのフリックやピンチです。僕がiPadを重要視しているのはiPadが世界初の本格的な指をデバイスとしたNUI対応のコンピュータだからです。
Web2.0は、Webの緊密なネットワーク化と、ユーザーの大量参加によって促された進化でした。
大量のユーザーがいればサービスも、より大衆化しなければならず、どんどん簡単になります。それがblogでありSNS、つまりソーシャルメディアの台頭を強く押し上げました。
僕はWeb2.0Bookにて、次の進化はリアルとバーチャルの融合にあると説きました。
そのインターフェイスが形になった姿こそiPhoneであり、iPadなんです。
Twitterがバーチャル側からのカンタン革命であったとすれば、iPhoneはリアル側のカンタン革命です。
そして、iPhoneからiPadの分化の中ではっきりとした姿を見せ始めたのが、NUIの進化の始まりなんです。
NUIは、世界各国のIT企業や家電メーカーらが実現を夢見て開発に投資してきましたがiPhone/iPadの成功によって、まずが指をデバイスとする姿がリードすることになりました。次の本格的普及は音声操作でしょう。iPhoneがここでも世界のNUI普及のリーダーになるはずです。
NUIは、Webとリアル社会を繋ぐ、重要技術です。
Googleがクラウド化を進め、AppleがNUI化を進める。
それによって、世界のインターネット技術が社会全体のインフラになる。
2010年は、そんな未来が透けてみえた瞬間であったと、僕たちは後から思い起こすことになるでしょう。
コメント
汎用器機としてはアップルかもしれませんが・・・
もっとも開発が進んでいるのは「米軍」ではないですか?
湾岸戦争の時にアパッチヘリのパイロットが使っていましたよね。トーシロ風にいうと「ドラゴンボールのスカウター」みたいなやつ。
ネットだって、人工衛星だって、もとは軍事からの転用ですし、ベンチャーのかたは、シリコンバレーだけではなく、ミリタリーもマークしてみては?あの分野はディスコチャンネルでみているだけでもおもしろい?ですよ。
私のアゴラの没原稿もUIの話でしたので
引用させて下さい。
「iPad/iPhoneよりもインターフェースを、I/Oを、機能を隠す、
これは一つの現実解であるかも知れない。インターフェースの
改善は常に臨床的であるので、これを覆すブームは必ず、
外から発生するだろう。それは日本はおろか、欧米であると
も限らない。」
ナチュラル・インターフェースとやらにしても、
入力:出力の関係からは自由になれない。
人工言語をベースにしたI/Oの関係性から自由な
ソフトウェアや家電が出ないか。
それこそ革命だと思います。
ん?それこそミリタリーの最前線にそれはあるのか。
「インプットなんて遅い事、記録してもやらないよ
ハハハ」って笑ってたりして。