- 新しい都市を建設する広大な空き地がある
- 都市の運営について事前のルールで決める
- 都市への参入も退出も自由とする
- すべての住民にルールをひとしく適用する
注目すべき特徴は、議会が存在しないということだ。大阪市をチャーターシティにすると、橋下氏があらかじめ大阪市の憲章(チャーター)を決めて宣言し、そのルールに従う人だけが大阪市に住む。いやな住民は出ていけばいい。
ただし大阪市は1の条件を欠いているので、これは厳密なチャーターシティとは違う都市国家である。簡単にいうと、都市を企業のように経営するのだ。Esther Dysonも指摘するように、現代の都市は企業にますます似てきている。特にグローバル化の中で、日本の地方都市はアジアの都市との都市間競争にさらされている。市民や企業を引きつけるには、制度の柔軟な変更が必要だが、その足枷になるのが主権国家(領土国家)である。
Gatなど多くの歴史家が指摘するように、主権国家は領土を奪い合う戦争に最適化した軍事国家であり、経済活動には適していない。香港やシンガポールのような都市国家が主権国家より高いパフォーマンスを示すのは、そのためだ。民主制も効率の悪い制度で、選挙で民意を代表するなどというのは神話に過ぎない。歴史的には、都市国家は市民の足による投票で競争してきたのだ。
新しい都市国家への動きは、すでに始まっている。ホンジュラスは、ローマーを顧問としてチャーターシティを建設しようとしている。サンフランシスコ沖には、Seasteadingというリバタリアンの都市国家を建設するプロジェクトが計画されている。
橋下氏がよく知っているように、今のままでは大阪の地盤沈下は止まらない(私もNHK大阪に勤務していたとき、そういう番組をよく作った)。だめで元々なのだから、『もしフリ』にも書いたように、大阪が「特区」として独立すればいい。たとえば法人税をゼロにして公的年金を廃止し、社会保障を負の所得税に一元化したら、彼のきらいな日教組は出て行き、グローバル企業が大阪に入ってくるだろう。
この意味では、維新の会は国政に出るよりも大阪の地域政党に徹し、中央の政党には「特区を認める党を支援する」という戦術をとったほうが本質的な改革ができると思う。現在の統治機構を変えるのではなく、日本国というレガシーを捨てるのだ。