最早お約束といっても良いかも知れないが、地方の多くが域内農家の保護を理由に政府のTPP加入に対し、反対したり、或いは、慎重な対応を求めている。
表現を変えれば、日本国民に対し@400円/10KGのベトナム米に比べ@4,000円~@5,000円と、遥かに割高な日本米を食べ続ける事を強要している訳である。
高い米を食べさせるためには800%弱の関税を輸入米に課すと共に、競合するバンや麺類の価格も上げねばならない。従って、泥縄で小麦粉にも高い関税を課す事になる。
米作農家だけを優遇する訳にも行かない。従って、乳製品にも高い関税を課して酪農を保護する事になる。
笑い話ではないが、日本で食事をするというのはまるで「税金」を食べている様なものである。
とはいえ、地方が虎の子の域内産業を保護するのはある程度筋が通っている。
問題は、反対している県の財政が都道府県の財政力指数ランキングが示す通り、極めて脆弱な事である。
TPP加入に反対の県の自前の税収を実際の支出で割った数字を悪い方から五件列挙すると下記となる。
島根県 0.24
高知県 0.24
沖縄県 0.29
鹿児島県 0.29
徳島県 0.30
何と、支出の70%以上を地方交付税交付金に依存している訳である。国の丸抱えといっても良いかも知れない。
一方、TPP加入に反対の県から財政面で頼られ切っている国であるが、何も打ち出の小槌を持っている訳ではない。
企業から法人税、国民から所得税や消費税を徴収し、足らない部分は国債を発行して何とか遣り繰りしている訳である。
しかしながら、国債のこれ以上の発行はもうやるべきではない。これは、国民の総意といっても良いだろう。
結果、法人税、所得税、消費税からの歳入を増やすしかない。
そして、そのためには企業業績を改善し企業から法人税をより沢山払って貰う。
雇用を増やし、併せて年収も増額する事で従業員が負担する所得税収入が増える。
所得が消費に回る事で消費税収入が増える。
これしか、今の所国が地方交付税交付金を継続して負担可能なシナリオが見当たらない。
そのためには、経済の主役である民間企業が「稼げる」環境を整備せねばならない。具体的には、今後の経済発展が期待出来るTPP加盟国との間に「通商」と「投資」の枠組みを判り易く設定する事である。
何の事はない、TPPに加盟するという結論なのである。
従って、理屈をいえばTPP加盟に反対する県は同時に地方交付税交付金を辞退せねばならない事になるはずである。
TPP加盟に反対しながら地方交付税交付金を貰い続けるというのは筋が通らない。多分、小学三年生でも判る理屈ではないのか?
三歳児が母親が欲しい玩具を買ってくれないと、玩具屋の床の上を転がり回っている様な未熟で無様な姿ではないのか?
こいう愚かしい県は若者に取って魅力がない。二年以上前に日本の地方都市 で説明した通りである。
結果、大学進学を機に東京に出て来たまま二度と帰らない事になるのも当然である。
地方に残るのは年金に依存する高齢者、税に寄生する地方公務員、同じく農業補助金に寄生する農協職員ほか農業関係者他といった所か?
一体地方行政に携わる人達は自分達の将来に対し如何なるビジョンをお持ちなのであろうか?
山口 巌