映画評にも、喫煙場面が異様に多いのが気になるという批評があった。特に結核の妻の前でタバコを吸う場面は、多くの人が批判していた。私は、テレビのインタビューで宮崎監督がずっとタバコを吸い続けていたのに違和感を覚えた。彼はチェーンスモーカーらしいが、この調子だとスタジオジブリのスタッフの何人かは受動喫煙で死ぬのではないか。
宮崎監督は「反原発」だそうだが、タバコが原発よりはるかに危険な発癌物質であることを知っているだろうか。アメリカではタバコ会社が、3600億ドル以上の賠償で和解した。日本の喫煙による死者は年間12.9万人で、受動喫煙のリスクでも100mSvの放射線より大きい。
日本のタバコの値段は主要国で最低で、その増税案もJTの反対で撤回された。今年の世界禁煙デーの標語”Ban tobacco advertising, promotion and sponsorship“も厚労省は「たばこによる健康影響を正しく理解しよう」と「超訳」した。JT=財務省が恐いのだろう。
その一方で放射能には過敏で、無意味な原発停止や1mSvの除染に何兆円も投じる。このように客観的リスクを甘く見て主観的な「安心」に莫大なコストをかける日本人のバイアスも困ったものだが、それに迎合する政府もマスコミも、自分たちのバイアスを自覚してほしい。
追記:常見さんがこの抗議を「炎上マーケティング」だと書いているが、こういう陳腐な悪口は、アゴラの品位を下げるのでやめてほしい。なんで学会が「売名」しなければいけないのか。上記のように条約では「タバコの宣伝・奨励・資金援助」を禁止しており、何百万人も見る映画で何度も喫煙の場面を見せるのは、明らかに「奨励」である。