政府閉鎖で、10月4日の米9月雇用統計公表に先送りのリスク --- 安田 佐和子

アゴラ

米連邦公開市場委員会(FOMC)は17~18日の会合で、ウォールストリートの予想とは裏腹に量的緩和(QE)縮小を先送りしました。声明文では1)成長および労働市場の回復ペース、2)財政引き締め、3)金融市場の引き締め──と3つの懸念事項を挙げつつ、もうひとつ大きな要因がFOMCをしてQE縮小を後ろ倒しさせた可能性があります。

経済情報ブログのカルキュレーテッド・リスクが指摘したところ、2014年会計年度が開始する10月1日に、政府機関が閉鎖されるリスクが濃厚となってきているんです。政府機関が閉鎖されれば、米雇用統計の発表元である米労働省・労働統計局(BLS)も閉鎖を免れません。すなわち、10月4日に予定する米9月雇用統計が公表されない見通しとなるワケです。

例えば、1995年12月16日から1996年1月6日まで政府機関が閉鎖に追い込まれた当時を振り返ってみましょう。クリントン政権で債務上限引き上げ法案と歳出法案の協議が暗礁に乗り上げた当時、米12月雇用統計の公表は1996年1月16日まで待たねばなりませんでした。

1995年の歴史が、繰り返されるのでしょうか。

今回すぐにつなぎ予算が成立したとしても、BLSは短期間に結果をまとめなければなりません。10月29~30日開催のFOMCが政策変更を決断するには、雇用統計の内容の質が問題視される上、情報を評価する時間が限られることになりそうです。QEは、11月に緊急会合さえなければ12月まで継続する公算が大きいんですね。

何だかんだいって、米議会は2011年8月当時や2012年末にかけての「財政の崖」協議のように、期限切れ後まもなく合意に達するのでしょう。とはいえマーケットがFOMCまでに米9月雇用統計を消化する時間、短くなること必至です。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年9月21日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。