日本発のキャラクターで世界を駆け巡っているのが、キティちゃんです。
実はキティちゃんは日本だからこそ生まれたといっても、過言ではありません。なぜなら、キティちゃんにはお口がないからです。こんなこと考えつくのは、日本人だからこそ。キティちゃんは、心の言葉で話すのです。
日本人も実は、心の会話が得意です。日本人は心の会話の次に、声の会話をするのです。「もてなし」は心の会話ではじまるもの。
日本人であれば(一応)誰でも、この2段階会話を行います。その秘密は、「日本語」。日本語には、心の動きを表す言葉が山とあります。
たとえば、「涙が、キラキラ」なんて状態が心に映ったら、それだけでドキドキ。「刀がギラッ」なんて状態が目に飛び込んだら、それだけでドキドキ。
その光が点滅しているのか、はたまた鋭いか等々と。好奇心旺盛の日本人は、ドキドキ、ワクワクが大好きです。心に映った状態を、瞬時に違いも含めて細密に捉える言葉が日本語には山盛りです。
それが羽二重のような手触り感となり、匂い立つ色気となって源氏物語を世界に放ち、能や俳句という少ない言葉で心を届ける芸能を日本文化に昇華させ、鋭い観察力・洞察力と姿を変えて日本で禅を花開かせるのに役だったのではないかと思います。
「古池や 蛙飛び込む 水の音」なんて表現は、日本語だからこその芸当です。
もちろん、こうした2段階会話力は日本人を質の違いに敏感な人的資質に鍛えていくことにもなり、世界の中でも群を抜いた日本の商品開発の安全度の高さに繋がっています。
世界にはいろんな言葉がありますが、いろんな考え方が世界にあるのはこんなことも影響しているのです。
「心の会話」と「言葉の会話」の、2段階会話力。これ、日本人の人的資質の代表的特徴の一つです。
大使にキティちゃんを選んだのは、単にカワイイからではありません。2段階会話力を備える日本人の人的資質の、世界に向けたメッセンジャーでもあるからです。
だからこそ、ジャパン・オリンピックの「おもてなし大使」にピッタリではないかと思うのです。
玄間 千映子
(株)アルティスタ人材開発研究所 代表