中印の国境紛争とロシアの外交上手と朝鮮総連落札問題となんとなく絡めて見てみる --- うさみ のりや

アゴラ

インドと中国はカシミール地区とアルナーチャル・プラデーシュ州を巡って長年小競り合いを続けてきて今年もちょこちょこ打ち合いを繰り返していましたが、先日「中印国境防衛協力協定」が締結されたようで、漸く落ち着きを見せそうです。

| 毎日新聞

中印の国境紛争は非常に分かりやすい構図で、両国の国境は基本的にはヒマラヤ山脈があるため頑健なのですが、その両脇を巡って争いが起きている状況です。

中国としてはパキスタンとミャンマーへの武器輸出、直接の支援・取引の経路を確保するために、逆にインドとしてはそれを阻止するために譲れない線であり、この国境紛争は千日手で解決することは無いでしょう。今回はお互いその中で妥協を受け入れたということと思われます。今後インド洋への進出を目指す中国としてはパキスタンとミャンマーに拠点港を作ろうとする動きがありますが、インドは「おまえオレをなめんなよ」とロシアから2000億円超で空母を購入して、備えを充実させているところです。ということで今後中印の争いはインド洋に舞台を移すと思われます。

キーマンはロシアで、ロシアは上海協力機構などの枠組みを用いて米国への対抗という観点で中国と協力しつつも、さらに機構内でインドとの連携で中国をソフトに抑え込もうとしている節があるので、両者の争いを裏で糸を引きつつも上手く調整する役回りを演じようとしていることが見て取れます。最近のロシアの国際舞台での立ち回りは一級ですね。中国もこの辺はよく分かっているようで、22日には印露とモンゴルの首相を北京に招いて、大陸国同士の連携をアピールして米国に対して牽制をしています。

そんな中、日本も蚊帳の外にいるわけではなく、モンゴルにくさびを打ち込もうと新空港の建設の支援しようとしたり、鉱山開発を進めたりしています。また拉致問題の解決もモンゴルを通じた裏外交ルートで取引しているようで、おそらく朝鮮総連ビル入札にモンゴル籍の企業が入札したのもその絡みがあるのでしょう。内モンゴル自治区の人権侵害や弾圧の様子を間近で見ているモンゴルとしては本音のところで中国を信じているわけではないので、おそらくここにくさびを打ち込む戦略はかなり功を奏しているでしょう。ちなみに一説にはモンゴルの企業の朝鮮総連ビルの落札費用は官房機密費とODA資金の環流という噂が霞ヶ関界隈で飛び交ってます。確証がない、あくまで噂ですけどね。

そんなわけで世界は壮大につながっているよ、という話でした。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2013年11月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。