カンボジアのプノンペンに見る投資先としての光と陰 --- 内藤 忍

アゴラ

昨晩、無事にプノンペンに到着しました。直行便が無いので、韓国ソウルの仁川空港経由で行きましたが、乗り継ぎで3時間の待ち合わせ。ホテルに到着したのは、現地の深夜でした。

ソウルからのフライトを降りて空港を出ようとすると、そこにはお祭り騒ぎのようなたくさんの出迎えの人たちが。ガイドさんの話によれば、韓国に出稼ぎに行っていたカンボジア人が帰国するのを出迎える家族や友人たちがほとんどだそうです。お金を稼いで帰ってきた人を歓迎する温かい空気が流れていました。


この国はまだ2回目ですが、空港を出た瞬間に何とも解放された気分になれる不思議な魅力があります。以前、沖縄の竹富島のフェリーを降りた瞬間に感じた気分に似ています。単に自然があるというだけではなく、気持ちが良くなる何かがあるように感じるのです。

カンボジアという国の居心地の良さには、他にも理由があります。例えば、日本人に対する友好的な国民性もその1つです。ODAを通じて協力している日本には感謝と尊敬の気持ちを持っているのを感じます。これはトルコに行った時に何だか似ています。

また、物価の安さも魅力です。ホテルの中のスパでマッサージを受けると1時間で12ドル。東京の普通のお店の5分の1です。街中だったら、さらに価格は下がるでしょう。食事やホテルの価格も考えられない水準です。

一方で、この国にはいくつかのリスクもあります。一番の懸念は政治だと考えています。与野党の対立によって、政治が混乱する可能性があります。選挙は今年の夏に終わり、5年後までは総選挙は無いようですが、また選挙が近づくにつれて不安定な情勢になるリスクは考えておかなければなりません。与党についている中国と野党をサポートする米国(そして日本)という構図は、アセアンの陣取り合戦の代理戦争のように見えるのです。

また、急速な経済成長は、都市と農村など、様々なひずみを生み出す可能性があります。都市化が進めば、治安も悪化します。賃金が上昇すれば、せっかく他のアジア諸国からシフトしてきた労働集約的な産業が逃げていってしまうかもしれません。また、人口が1500万人と少ないこともカンボジアの弱点の1つです。

しかし、すべてのものには、プラスとマイナスの両方があります。完璧な人間がいないのと同様、完璧な投資先というのも存在しないのです。今回も短い時間で濃密なスケジュールをこなし、たくさんのインプットができるはずです。

リスクも大きいが、アップサイドも期待できる。今日はまず不動産物件からじっくり見学します。現地でしか得られない情報をできるだけたくさん参加者の方に持って帰ってもらいたいと思っています。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年11月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。