ウクライナ情勢が緊迫してきた。ロシアのプーチン大統領がクリミア自治共和国へ軍を派遣、同共和国を支配下に置く作戦を展開してきた。国連安保理事会、北大西洋条約機構(NATO)は緊急協議し、ウクライナ紛争の沈静化に腐心している。米CNN放送は3月1日夜(ウィーン時間)、ブレーキング・ニュースでウクライナ情勢を繰り返し解説していた。
2日朝、いつものように韓国メデイアの日本語電子版のサイトを開き、読みだした。「聯合ニュース」「中央日報」「朝鮮日報」の各電子版にはウクライナ情勢の関連記事が掲載されていないのに気が付いた。
「中央日報」2日午後4時(現地時間)でトップ記事は「朴大統領『歴史否定は孤立を招く』」でいつものように日本批判の記事だ。「聯合ニュース」では「ソウルで慰安婦問題テーマで漫画展開幕、来月13日まで」が主要記事だった。
国際記事といえるのは、対日関係、対中問題だ。そこに北朝鮮関連記事が掲載される、といった具合だ。もちろん、日本語電子版という事情もあるが、余りにも日本関連記事が多く、ウクライナ情勢といった純粋な国際記事はほぼ皆無だ。韓国人読者にとってウクライナ情勢はどうでもいいのだろうか。
参考までに、「朝鮮日報」2日正午時点での「主なトピックス」は以下の通りだ。
韓国をけなす本が日本でベストセラーに03/02
独島:グーグルの新サービスで発生した「領土紛争」03/02
「泥棒韓国は竹島を返せ」 右傾化する日本の若者03/02
「韓国人を追放せよ」 デモ拡大で新大久保は売上減03/01
「竹島の日」に日本で会った在日実業家の思い03/02
毛沢東「遼東地方は本来朝鮮の土地だった」03/02
【萬物相】「遼東半島は朝鮮の領土」03/02
【萬物相】高麗美術館03/02
ソウル観光に各国の特色…中国人は景福宮、日本人は?03/02
世界の防衛産業の主役は「無人機」、急成長の理由は03/02
今や民間企業も無人機を活用、書類やピザの配達も03/02
【記者手帳】「韓国の小学生はアダルトサイト中毒」!?03/02
「入院から介護へ」 脚光浴びる日本の訪問診療03/02
「3・1独立運動」から95年 朴大統領演説の要旨03/01
朴大統領 日本に「過去の否定から脱するべき」03/01
侵略主義日本と植民地韓国、近代の歩みはなぜ異なるのか03/01
慰安婦:なぜ今「河野談話検証」? 日本の魂胆は03/01
北朝鮮ナンバー2の崔竜海氏監禁か03/01
日本の蛮行訴える漫画展 9月に仏で開催=韓国作家ら03/02
上記の記事で国際関連記事といえば、「無人機」関連記事だけ。後は反日関連記事で占められている。
「朝鮮日報」読者のその日の「アクセス・トップ10」は以下の通りだ。
「泥棒韓国は竹島を返せ」 右傾化する日本..
「韓国人を追放せよ」 デモ拡大で新大久保..
「竹島の日」に日本で会った在日実業家の思..
韓国をけなす本が日本でベストセラーに
ソチ五輪:プーチン氏FB、韓国人の書き込..
日本の国宝なのになぜ「百済観音」と呼ばれ..
独島:グーグルの新サービスで発生した「領..
慰安婦:なぜ今「河野談話検証」? 日本の..
【コラム】米バージニア州と仏アングレーム..
ソウル観光に各国の特色…中国人は景福宮、..
ちなみに、「聯合ニュース」のトップ10は以下の通りだ。
1朴大統領 日本に「過去の否定から脱するべ…
2 安重根の伊藤博文狙撃は犯罪ではない=歴史…
3 「河野談話」修正を警戒 韓国長官が国連人…
4 ソウルで慰安婦問題テーマの漫画展開幕 来…
5 日本の挑発続くなら交流中断 韓国地方議会…
6 「3・1独立運動」から95年 朴大統領演…
7 「旭日旗」問題視した動画 韓国人教授が世…
8 風雲急の韓国政界 最大野党と安哲秀氏が新…
9 日本の蛮行訴える漫画展 9月に仏で開催=…
10 仁川アジア大会まで200日 北朝鮮含む4…
「朝鮮日報」「聯合ニュース」という韓国を代表するメディアを見ている限り、ウクライナ情勢に関する記事は見当たらない(韓国メディアは海外特派員の数が少ないこと、国際記事はAP、ロイターなどの外電依存だから、独自報道は限られる)。
もちろん、日本のメディアも国内問題を大きく報道するが、ウクライナ情勢についても特集を組んで、読者に情報を提供している。ウクライナ情勢を主要記事として報じているところもある。
韓国メディアが日本関連記事を大きく報道し、読者の知りたい権利を充足させるのは理解できるが、世界は韓国を中心に、日本、中国だけで動いているわけではない。ウクライナ情勢は国際社会の共通問題であり、その行方は朝鮮半島にも波及するテーマだ。
韓国メディアは国際社会の情勢をもっと積極的に報道すればどうか。そうすれば、読者の対日関係を見る目も変わってくるのではないだろうか。竹島問題や慰安婦問題も大切だが、世界は今、ウクライナ情勢やシリア問題の行方を懸念しているのだ。
編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年3月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。