景気回復はまだ遠し ~ 2013年度消費者物価指数の動き --- 石川 和男

アゴラ

総務省統計局が昨日発表したところでは、2013年度平均の消費者物価指数(CPI、10年=100)と2014年3月の消費者物価指数について、それぞれ以下の通り。

<14年3月>
1)総合指数は10年を100として100.9、前月比は0.3%の上昇、前年同月比は1.6%の上昇
2)生鮮食品を除く総合指数は100.8、前月比は0.3%の上昇、前年同月比は1.3%の上昇
3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.6、前月比は0.3%の上昇 前年同月比は0.7%の上昇

<13年度平均>
1)総合指数は10年を100として100.4、前年比は0.9%の上昇
2)生鮮食品を除く総合指数は100.4、前年比は0.8%の上昇
3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.5、前年比は0.2%の上昇
 


詳しくは総務省資料を参照されたいが、日本経済新聞ネット記事に書いてあるように、「原子力発電所の稼働停止や円安の影響で電気代やガス代といったエネルギー価格が上昇したこと」などが大きく影響している。

政府は“デフレ脱却”を宣言したいのだろうが、こうしたエネルギーコストの上昇は決して『望ましい物価上昇』ではない。このブログでは何回も書いてきたが、必要なのはインフレではなく、実質GDPの拡大である。インフレで国民生活が豊かさを体感するとは限らない。

国民生活の豊かさとは、一つには賃金上昇であろうが、力強さはまだまだ見られない(資料1)。CPIだけに注目していても、経済状況が好転したことにはなっていない。東日本大震災のあった2011年以降のエネルギーコストの上昇が反映していることがよくわかる(資料2)。

政府の手によって景気を良くすることは容易ではないが、少なくとも、電気代の上昇基調を逆転させることは政府判断で可能だ。それは、原発再稼働による電気代の引下げである。これもこのブログで何度も書いてきたことだが、最近は“原発停止インフレ”の中にいる。そんな愚かな状態から早く抜け出さないといけない。

脱却すべきはデフレではなく、“悪しきインフレ傾向”であり、目指すべきは『景気回復』なのだ。それが真のアベノミクスであるはずだが、まだそうはなっていない。

<資料1>

(出所:厚生労働省資料

<資料2>

(出所:総務省統計局資料


編集部より:この記事は石川和男氏のブログ「霞が関政策総研ブログ by 石川和男」2014年4月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった石川氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は霞が関政策総研ブログ by 石川和男をご覧ください。