パレスチナ、国連専門機関加盟か --- 長谷川 良

アゴラ

パレスチナ自治政府の主流派ファタハとガザ地区を支配するイスラム根本主義組織ハマスはは4月23日、暫定政府の発足で合意したというニュースが入ってきた。

ハマスをテロ組織と指定し、ハマスとの和平交渉を拒否してきたイスラエルはパレスチナ側の今回の合意を「和平交渉の大きな障害」と強く反発している。今月末に迫った和平交渉期限までイスラエルとパレスチナが何らかの合意に達する可能性は無くなったと受け取られている。


▲ウィーンの国連機関の正面入口(2013年4月撮影)


それだけではない。パレスチナ側は今月29日、イスラエルに和平交渉の意思がないと断言し、パレスチナ国家建設に向けて手を打つという。具体的には、国連機関への加盟申請書の提出だ。

パレスチナは2012年11月、国連総会で賛成多数の支持を受け「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」の地位に格上げされた。今月2日には15の国連・国際条約の加盟を申請したばかりだ。国連の専門機関への加盟申請はそれを更に一歩前進させることを意味する。

パレスチナは2011年10月末、パリに本部を置くユネスコ(国連教育科学文化機関)に加盟しているが、今月末、アッバス自治政府議長はウィーンの国連工業開発機関(UNIDO)などに加盟申請書を提出すると受け取られている。

UNIDO関係者は「李勇事務局長は目下、中国だ。5月5日にはウィーンに戻ってくるから、パレスチナの加盟申請の最終的判断はその以降になるだろう。いずれにしてもパレスチナが加盟申請書を提出したならば特別理事会が招集されて最終決定が下されるだろう」という。

パレスチナにとってUNIDOの加盟申請は他の国連機関への加盟よりも容易だ。米国が1996年、UNIDOを脱会しているからだ。だから、米国はイスラエルの意向を受けてパレスチナのUNIDO加盟反対への音頭を取ることはできない。例えば、ユネスコの場合、米国は供出金の停止など、ユネスコ側に圧力を行使している。

ウィーンの国連関係者は「パレスチナ人職員は既にUNIDOに勤務している。パレスチナの加盟には大きな支障はないが、包括的核実験機関(CTBTO)や国際原子力機関(IAEA)などへの加盟申請の場合、難しいだろう。なぜならば、安全問題と関係する国連機関の加盟には米国やイスラエルの強い反発が予想されるからだ」という。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年4月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。