日経新聞の今朝の朝刊によれば、政府は少額投資非課税制度(NISA)を拡充することを検討しているようです。
例えば、現在年100万円の非課税枠を200万円以上に拡大したり、税金がかからない期間を延長したりする案が浮上していると言います。
しかし、このような改善を行っても、恐らく大きな変化はないはずです。それより、もっと抜本的な政策を行ってはどうでしょうか?
日本の個人投資家の特徴は、
1.リスクを取らないで、預貯金に資金を滞留させる傾向が強い
2.資産が高齢者に大きく偏っている
という2つがあります。それぞれに対策を考えてみてはどうでしょうか。
まずリスクについてです。金融商品の利益に対する課税を考えてはどうでしょうか。リスク資産に資金を呼び込むのであれば、リスクを取った人には税制面で優遇することを考える。預金よりは、債券(あるいは債券ファンド)、そしてそれよりは株式や不動産の方がリスクが高くなります。それに応じた税制にするのです。
例えば、預金は金利の20%に課税、債券は利益の15%に課税、株式や不動産は利益の10%に課税というようにすれば、リスク商品にマネーが流れやすくなります。
そしてもう1つの問題である、高齢者への資産偏在を、若年層に移転させるには、相続税の課税強化と贈与税の優遇が考えられると思います。
例えば、2015年末までの限定で1億円まで贈与税がかからないとすれば、来年までに大量の資金が、親から子、親から孫などに贈与されるはずです。その一部の資金は、株式市場などで運用する資金に回ってくるのではないでしょうか。もしかしたら消費に回るのかもしれませんが、いずれにしても、高齢者が保有したまま動かない資金が動き始めるカンフル剤になるはずです。
日本において、金融資産1億円以上の人は200万人程度と言われています。とすれば、90%以上の人は、期間限定で、全資産を好きな人に無税で渡すことができるのです。
NISAに関して言えば、例えば金融資産を1000万円以上保有している人たちにとって、わざわざ手間をかけて口座開設して年間100万円の非課税枠を作るというのは、あまり強いインセンティブを感じないと思います。
本気で個人投資家の資金を中長期の成長資金として取り込みたいのであれば、もう少しインパクトのある政策を考えたほうが良い。財政や税の専門家ではない私が考えたこのようなアイディア。
単なる、素人考えでしょうか?
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年5月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。