ソフトバンクのロボットは日本ロボット研究にとどめを刺す

アゴラ編集部

まず、高いな、と思いました。何かと言えば昨日6月5日、ソフトバンクが発表したロボット「Pepper」です。19万8000円らしい。孫正義社長が25年来の「夢」と鳴り物入りで発表していたんだが、長い夢のわりには「陳腐」なロボットと言わざるを得ない。感情認識ヒト型ロボットは「世界初」でもなんでもありません。

2013国際ロボット展における「アルデバラン・ロボティクス」の「NAO」。


同じようなロボットはこれまでも多種多様なものがたくさんあります。たとえば日立の「EMIEW2」とか。シャープの「パルロ」とか。ちょっと前に出た三菱の「wakamaru」なんてのもある。枚挙に暇がありません。

もうね、シャープの「COCOROBO」でいいわけです。ヒューマノイドである必要はない。三菱の「wakamaru」事業はすでにほとんど実態はない。これまで日本のロボット産業界は、なんとかヒューマノイドで「金になる用途」や「市場」を探そうと必死にやって来た。しかし、死屍累々です。

なので、残念ながらこの「Pepper」から新奇性は微塵も感じられません。しかもタッグを組んでいるのがフランスの「アルデバラン・ロボティクス」と台湾の「FOXCONN」。ベースは「アルデバラン」の技術なんだろうが、ロボット関係の工業展示会などでも同社のロボットはほとんど注目されません。その機能、ソニーがかつて出し、這々の体で撤退した「QRIO」にさえ見劣りするからです。

なぜソフトバンクは日本国内のロボット開発研究者と一緒にやらないのか、それも不思議です。協力を仰いでいるのは、この会見に合わせて急きょ立ち上がった「よしもとロボット研究所」だけというお笑い状態。Googleが東大発ロボットベンチャーの「SCHAFT」などを買収して話題になったんだが、ソフトバンクはフランスの「アルデバラン・ロボティクス」に約1億ドルも出資し、実質的な子会社にしています。

孫社長は日本のロボット技術に見切りをつけているんでしょうか。1億ドルあったら、日本のロボット研究者がどれだけ息を継げるのかわかりません。いずれにせよ、ソフトバンクと孫社長は、ロボットビジネスについてどう考えているのか、成算はあるのか、これまでの日本のロボットビジネス界と同様、今回の会見でもその回答は得られませんでした。この「Pepper」も死屍累々の仲間入りをするんでしょう。

マックンの気まま日記
ソフトバンク人型ロボット開発。価格は20万円を切る。感情を理解話し相手に!


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「陰謀論」とか人間の感情、思い込みといったものについて書いているブログです。最終的には「利己主義」と「利他主義」や「裏」と「表」、「本音」と「建て前」に帰結するような話。利他的行動も人間の複雑な心理が絡むと途端にわかりにくくなる。百人に一人か二人は「天才的な詐欺師」がいると思います。彼らが悪意を持って誰かを騙そうとすると、よほど用心深い人でもコロリと騙されてしまう。営業マンなどで成績のいい人に多い。まあ、拝金主義や勝利万能主義で考えれば単純でいいんだが、言葉、「コトダマ」というのは強い。人間というのはとかく御託をならべたがるものです。本田圭佑選手はどうしてああ「御託」が多いのか。ACミランで背番号10を背負ってるだけで充分過ぎるほど説得力があるのに、彼はずっとそうやって自分を奮い立たせてきたんでしょう。語りたがり屋は自信がない。テレビ屋にとって便利で美味しい素材です。しかし、長いよ、このブログ。読み始める前に要注意です。

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アゴラ編集部:石田 雅彦