楽天にフラれた(?)スカイマークが乱気流突入です

新田 哲史

※スカイマーク決算資料表紙より

どうも新田です。家入エアバスは制御不能で、インターネッ党の機影もすっかりレーダーから消えてしまったこの頃です。申し訳ございません。鋭意捜索中です。ところで例のスカイマークがエアバス社から三行半を突きつけられた案件ですが、発信源はブルームバーグが29日未明(日本時間)に放ったスクープでした。

エアバス、スカイマークのA380発注キャンセルで合意
7月29日(ブルームバーグ):欧州の航空機メーカー、エアバス・グループは超大型旅客機A380について、スカイマークが発注した6機の契約取り消しで合意した。事情に詳しい関係者が明らかにした。協議が非公開だとして匿名で発言した同関係者によれば、スカイマークは購入が不可能になったという。ただ、別の関係者によると、両社は補償をめぐる協議を続けており、選択肢には機体引き渡し延期や契約の100%キャンセルなどが含まれているとしている。

まあ、ミニスカ炎上案件といった劇的演出は、スカイマーク野球部がまさにルーズヴェルト・ゲームを鋭意展開中のなかでのハイライトシーンに過ぎないのが実態なようです。国交省記者クラブを始めとする航空担当の記者さんたちの間では、「試合敗退⇒廃部」という最悪のシナリオ警戒がもはや「公然の秘密」案件だったようです。まあ、価格帯ゾーンで安値からLCC、中~高帯からはアナとツルに挟撃されて埋没化するという、数年後にはグロービスのマーケティング教科書のなかで、ポジショニング分析の負のケーススタディになれるだけの展開でありまして、実際、先月の決算資料見ても過去2年で230億のキャッシュがステルス機になってしまいました=下記参照=。


実は2か月前に興味深い話を聞きましてね。某記者クラブメディアが、楽天が航空業界への参入を考え、スカイマークへの出資を模索しているというネタをつかんで裏取りを進めてたそうなんですよ。まあ、結局は、その1カ月後、みなさんご存じのように、エアアジアと組む話が決まってしまい、それをまた東洋経済オンラインが記者クラブメディアを出し抜いて報じてしまったんですが、このときばかりは楽天がスカイマークにスカイマークが楽天にフラれたのかと思っておりました。

スカイマーク野球部はどうなってしまうんでしょうかね。かつて戦後最大級と言われた三光汽船倒産を特報した元日経の大塚将司さんの著書「スクープ 記者と企業の攻防戦」を読むと、今後のシナリオを読むには過去の類似ケースを探し出してスケジュール展開を読むのがコツらしいです。

大塚 将司
文藝春秋
2004-01-21


それで航空ビジネスに超詳しい人に教えてもらったんですが、かつて沖縄にあった幻の航空会社レキオス航空の事例が参考になります。飛行機が一機も離陸することなく、会社自体が墜落した案件なんですが、民事再生手続き開始の5カ月前に資本金準備不足を理由に航空機のリース会社から契約を破棄されたそうで。もちろん18年間、ちゃんと営業してきたスカイと単純に比較できないんですが、機体納入がおしゃかになって経営危機を迎えるモデルケースにはなりそうです。

まあ、野球も九回に8点差をひっくり返して甲子園切符を奪回できるわけですからね。星稜よろしく諦めないかどうか。五月雨式に連打をぶちかますには、やはり強力な助っ人スラッガー、ならぬスポンサーも必要だと思うんですが、エアバス社が契約変更の条件で突きつけた大手への傘下入りを拒否ったとなると、仮に助っ人を求めるなら異業種にお願いするしかないとも思うわけです。三木谷さんはプロ野球参入以前、スカイマークの経営参画に興味をもっていたという噂がありますし、エアアジアと組んだものの、スカイマークを100%放置と決まったわけではない。もちろん他のIT企業とかも大株主になる可能性を含めて、スカイマーク野球部が星稜もどきの起死回生の逆転劇を見せるのかどうか、海外旅行ギライで、A380にご縁が無いであろう私としては、ハラハラもせず、ドキドキもせず、生温かく見守りたいと思います。ではでは。

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ