アメリカ人に肥満が多い理由が分かる、5つのチャート --- 安田 佐和子

アゴラ

なぜ、アメリカ人に肥満体が多いのか。アメリカ疾病予防管理センターのデータでは成人では34.9%(ギャラップの調査より深刻)、子供でも3人に1人が肥満という状態は、どのようにして生まれたのか。マーケットウォッチが6つのチャートで真相に迫ります。

1)砂糖の消費量

そもそもアメリカでは1人当たりの砂糖消費量が2010年に132ポンド、つまり細身男性1人分に相当する59.87kgへ膨れ上がりました。子供が1日摂取するカロリーの16%を砂糖でまかっており、世界保険機関(WHO)が推奨する「5%未満」を大幅に越えています。

2)アメリカ人のカロリー源

1位は穀物類のデザ—トというですから、ケーキやアップルパイと小麦粉を駆使したお菓子が思い浮かびますね。2位はパン類。朝食に重宝してそうです。3位は定番のチキン、4位はソーダ・エナジー飲料・スポーツドリンク、5位は国民食とも言えるピザ。大人が食べれば子供も口にするでしょうから、野菜とフルーツのない悪循環が世代を超えて浸透していくというカラクリです。

3)1日当たりのTV視聴時間

見事に右肩上がりです。仮に視聴時間が短縮しても、反対にネット利用時間が取って代わって延びていくんでしょうね。

4)中学2年生の通学パターン、1969年と2009年の比較

1969年当時、徒歩あるいは自転車で通学していた14歳の割合は48%と最も多かったのです。まさか40年後、親に運転してもらっての自動車通学に入れ替わるとは、時代と治安の変化を物語ります。

5)サイズの変化、1950年代と現代の比較

「大は小を兼ねる(Bigger Is Better)」精神を地でいくように、ビジネス戦略の変容からハンバーガーのサイズは3倍、フライドポテトの量は1950年代と比較し2.8倍、巨大カップでお馴染みのソーダにいたっては6倍も増量しました。「生めよ増やせよ」ならぬ、「食べよ太らせよ」式で国民を肥やすとともに業績を上げていったというわけですね。

6)ファストフードのコマーシャル予算、2009年と2012年の比較

ファーストフード産業全体でみると2009年の42億ドル(4390億円)から2012年には46億ドル(4690億円)へ増加。マクドナルドとサブウェイが突出しています。

いかがでしたか? 砂糖摂取量の増加、運動不足、ビジネス戦略、加工食品の普及などなど・・・複合的要因が脂肪のように重なりアメリカで肥満をスタンダード化させていったことが分かります。根深い問題を解決するには、まず親が食生活を変えていくしかありません。

子供の肥満を抑制すべく、オバマ政権は学校での取り組みに着目しました。12州を対象に高カロリーの食品販売を制約する法案を施行したのです。ミシェル夫人が旗振り役の子供向け肥満取り組みキャンペーン「レッツ・ムーブ」の一環ですね。カロリー、ナトリウム、脂肪分その他の基準を上回るドーナツ、チョコレート・スティック、ピザなどからフルーツ入りカップケーキやブラウニーに取って代わることを意味します。

ニュースを伝えたウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙、法案がまとまった2010年時点で報じたザ・ブレイズの論調が批判的なのは、食の自由に基づいているのでしょうか。

(カバー写真 : Cory Doctorow)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年8月5日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。