「株式会社お金のデザイン」。どこかで聞いたような名前の会社ですが、それもそのはず。実は、私が名付け親なのです。ちょっと変わった社名ですが、今、個人的に最も注目している資産運用会社です。
この新しい会社の仕掛け人は、谷家衛さん。実は、マネックス証券の設立にも、ライフネット生命の設立にも、中心的な役割を担ってきた方。日本の金融イノベーションを先導してきた天才投資家です。
マネックス証券は、固定相場に守られた証券業界に挑戦し、手数料を10分の1にまで下げて、新しい多数の個人投資家を生み出しました。ライフネット生命も、対面販売が中心で極めて高コストだった生命保険業界に、低コストのネット生保という風穴を開けることに成功しました。
証券、保険に続いて、今の日本の金融業界でイノベーションが必要なのは、資産運用業界です。個人金融資産1600兆円の55%は円の預貯金と現金に滞留しています。自分が働くだけではなく、低いリターンで眠っているお金に働いてもらう方法を考えることが、求められているのです。
金融資産の運用リターンを上げるには、まずコストを下げること。そして次に、個別銘柄選択や投資のタイミングに時間をかけず、アセットアロケーション(資産配分)に重点を置いた投資をすることです。
残念ながら既存の金融機関には、低コストで金融理論に沿った長期運用を実現できる仕組みが整っていません。
例えば、投資信託の年間コストである信託報酬は、アクティブファンドの平均で1.5%以上。そしてコストが年々上昇していく傾向があります。
また、アセットアロケーションよりも、エネルギー、新興国、ハイイールドといった特定のテーマに偏った投資信託ばかりで、資産全体をどのようにマネージするかに関してのソリューション提供は、一部の富裕層以外にはありませんでした。
ネット証券のインデックスファンドを使った運用が、現時点ではベストだと思いますが、これもまだ資産配分に関するソリューション提供が充分とは言えません。
お金のデザインが提供する「ETFラップ」というのは、海外ETFを組み合わせて、最適な資産配分を低コストで提供しようという野心的な試みです。販売手数料はなし、年間の管理コストはトータルで1%以下です。証券会社や信託銀行が提供している年間コスト3%以上の「ラップ口座」の3分の1から4分の1のコストで、本格的なグローバル資産運用が誰でも簡単に実践できるのです。日本人の資産運用に「革命」が起こるかもしれません。
資産デザイン研究所が提案している資産運用は、コア資産(金融資産)とサテライト資産(実物資産)の組み合わせです。コア資産である金融資産の運用が「ETFラップ」で実現できれば、サテライト資産となる実物不動産やワイン投資などの目利きに時間を割くことができるようになるのです。
資産デザイン = お金のデザイン(ETFラップ) + 実物資産(不動産、コモディティ)
という図式です。
いずれにしても、ある程度の資産があるけれども、定期預金に置きっぱなしというような比較的シニアな人たちにピッタリのサービスが誕生するはずです。本格的なサービス提供開始が待たれます。
日本人の資産運用のやり方を根本的に変える、大きなムーブメントになる可能性があるプロジェクト。資産デザイン研究所、そして一般社団法人海外資産運用教育協会を通じて、社名のネーミングだけではなく、次のコラボレーションを実現したいと思っています。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年10月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。