面倒くさい株主の管理が0秒で100%正確にできる暗号証券

大石 哲之

株式って、誰がもっているとか、名簿を管理しないといけません。

株式の相続や、割当など、名簿の管理は煩雑です。間違いがあってもいけません。

会社の手にはあまるので、普通は、信託銀行に業務を委託しています。株主の数によって委託料は違いますが、数千万円単位で払っているわけです。

証券保管振替機構というのもありまして(通常ほふり)、証券会社の株はぜんぶこちらにまとめて置いておいて、この会社が名義を書き換えることで売買がなされたことになります。これの管理に、証券会社は、ほふりに対して年間179億円ほど払っております。

国債については、日本銀行がこれをやっていて、国債振替決済制度というのを運用しています。これにいくら費用がかかっているのかはわかりませんが、数が膨大なので、株式よりも多い気がします。

さて、暗号証券の場合どうでしょうか。暗号証券とは、ビットコインのブロックチェーンなどの上で発行される独自のコインで、たとえばCounter Partyのプロトコルをつかって、独自のコインを発行することが可能です。

一般的には、スマートプロパティとも呼びます。

Counter Party プロトコルは、米国のオーバーストック社が、自社の株式をこの暗号証券にして、分散型で管理をするという構想をたています。

で、そうなると、どうなるのかをお見せしましょう。もう、仕組みは動いてます。本物の株でやるとなると法律面をクリアーするなどのハードルがありますが、暗号通貨で株のようなものを管理するのは簡単です。

これをご覧ください。これは、現在ICOしているGEMSの場合をご覧にいれます。

簡単にいうと、GEMSというプロジェクトが、”GEMZ”という暗号通貨をビットコイン建てで発行して資金調達しています。

あるアドレスあてにビットコインをおくると、一定のレートでGEMZに換算(発行)されて、そのGEMZを受け取ることができます。

その結果がこれです。正確には、まだICOの最中なので、途中経過ですが。

GEMZという暗号トークンについて、ここから、あらゆる情報が調べられます。

発行数、発行アドレス、ロックされているか否か、配当があったか否か、など。

その中に、「アセットホルダー(資産保有者)」情報というのがあります。これをみたら驚愕します。

アドレスの一覧があり、それぞれGEMZトークンを何個持っているかが示されています。そしてそのパーセンテージも書いてあります。

上位のところをみると・・・

1位と2位は、発行体の持ち分(未販売分)なので、3位からが一般のユーザーです。

3位は、1Es3yG1FPRS1P6jUWhC4KibtfrRF29ovcM さん

だれだかわかりませんが、1,725,000 GEMZを保有し、全体の、1.725%。そのあと、いろいろつづいて、12位あたりが、258,750 GEMZで、0.258%です。

全体数もわかります。右上で青く囲った部分がそれですが、Total 703のアドレスがこのGEMZを保有しているとあります。名簿の最後の703番めの人は、0.595815 GEMZを保有しており、0.00000060 %の保有比率です。

ようするにこれは、株主名簿なわけです。

え?ぜんぜんすごくない?

だとしたら、ぜんぜん暗号証券の本質を、わかってないです。

まずこれですが、リアルタイムです。実際にはビットコインのブロックチェーン上に記録されるので確定は10分毎にということになりますが。

そして、名義の書き換え人が不要です。ビットコインのように、暗号証券を相手のアドレスあてに送れば、所有権は完全に移転して、それは誰もが公に確認できるようになります。

この所有権の移転は、ビットコインのブロックチェーン上でやっているので、要するに分散処理です。ビットコインの採掘者が承認しています。移転を管理する中央機関が要りません。

ということは、すなわち、監査不要です。この名簿はリアルタイムで100%正しい。偽造不可能(ビットコインと同等のセキュリティ)です。

あ。もうひとつ忘れていましたけれども、便利な機能があります。自動配当です。

・1 GEMZ 保有者に、新しく 0.5GEMZ を割当

とか

・1 GEMZ 保有者に、配当として 0.1ビットコイン を配る

とか、そういうやつです。

どの証券に何を何単位づつ配るかを指定して、配当ボタンを押すだけ。あとは、自動的に比例配分で配ってくれます。必要な時間は、そうですねぇ、3秒くらいかな。3秒後には全員に配当がとどいてますよー。

以上の説明を聞いて、衝撃を受けた方は、たぶん未来が見通せる方だと思います。

おそらく、20年後くらいにはあらゆるペーパー資産は、ビットコインのブロックチェーン上で管理して、権利を確定させるようになるのではないでしょうか。