アゴラに最近コラムを投稿していらっしゃる尾藤克之さんと先日の東京出張の際にお会いしました。著書の議員秘書だけが知っている キーパーソンを味方につける技術
貴重な出会いをもたらしてくれたアゴラに感謝しております。
さてそこで解散総選挙の話などもさせていただきましたが、大阪に帰ってきても引っかかっている質問というのが雑談の中でありました。それが「松本さんが考える、今後日本を引っ張って代表していく企業・産業ってどんなものでしょうか?」というものです。
私はその場では結局答えられませんでした。大阪に帰ってきてから考えてみましたが、今まで日本を支えてきて、今でも支えている自動車産業です。そして今はサムスンやアップルに押されてしまい、一時の勢いはなくなっているけれども過去には日本を支えてくれたのは電気産業だったかと思います。どちらも規模の大きな産業であり、多くの人達が働き、そして日本の産業界、経済界を牽引していったのは間違いありません。
自動車についてはトヨタの業績は好調で、テスラ・モーターズなどのチャレンジャーもいますがまだまだニッチな状態です。ですから自動車が今後日本を牽引し続けることは間違いないでしょう。しかし電機産業はもうさすがにサムスンの追い上げ、そして中国などの発展著しい国々からの低価格品の追い上げを考えると、今後は厳しいでしょう。ディスプレイや半導体で劣勢が続いているのを見ても明らかです。
では自動車以外にどの産業がけん引するのか?そして日本を代表する企業になりそうな企業は何かと考えた場合、非常に悩ましいものがあります。
例えばアニメ産業は日本の強みの一つです。日本のアニメや漫画はフランスを始めとして高く評価されています。ですので今後日本のアニメが世界に向けて広がっていくことは予想されますが、アニメーターは非常に給料が低く、業界規模もそこまで大きくありません。日本を引っ張っていくにしては規模が小さすぎると思います。
それではパズドラやモンストなどの携帯ゲームはどうでしょうか?一つの携帯アプリゲームで1000万円を超える売上をあげられるということで、多くの企業が参入しました。その中でもモンスターストライクとパズルアンドドラゴンズの2つは大きな成功を収めています。確かにモンストによってmixiは売上高を3.3倍に伸ばしたといいますから、期待はできます。しかし日本を代表するような企業が売上高1000億円というのは電気・自動車と比べてしまうと、少し小さいような気もします。
他にもいくつかの企業や産業で日本が強いと言われている部分はありますが、日本を代表するような産業や企業になっていくものは今のところ見当たりません。もちろん一朝一夕に市場ができて莫大な売上をあげられることは殆ど無いでしょう。しかし今後数十年たってアニメやスマホゲームが自動車産業のように数兆円を稼ぎだす事は難しそうです。
アメリカでは今までの重厚長大企業から証券、そしてITというようにうまくシフトしつつあるように思えます。Appleやアマゾンといった企業はまさにその代表でしょう。シリコンバレーもありますし、IT産業はまだまだ大きくなっていく余地があります。日本もITが今後伸びていかないとは言いませんが、アメリカのように国を代表する産業になるにはまだまだ力不足のように思えます。
よく政府が成長戦略ということを言いますが、一体どういうプランを持って成長戦略を描いているのでしょうか。どの企業・産業が伸びると考えているのか、数十年後にはどういう日本になっているというビジョンを持っているのか、それがなければ成長戦略による予算配分と言っても単なるバラマキにしかならないでしょう。成長する産業・企業に集中して投資する必要があるのではないでしょうか。
今後数十年後も自動車産業はまだあるかもしれませんが、日本は一体どの産業で食べていくつもりなのでしょうか。そして政府はどのような産業・企業が日本を代表するというビジョンを持っているのでしょうか。皆さんはどのように考えますか?