スタンフォード大学と共同開催の「IT政策研究会」にぼくが提出したペーパー「IT政策の動向と展望」の第3項、「日本のIT政策 10の論点」です。極めて乱暴ですが、こうした論点を掘り下げて、何が大事なアジェンダで、どの方向に進めていくべきかを研究会の中で論じていきたいと考えます。
上記の問題意識を下敷きにしつつ、現在の日本のIT政策に照らして、今後の政策アジェンダを決めるために重要となる10の論点を抽出してみる。これらに対し方向性を議論し、早急に結論づけることが求められる。
1) 競争政策
競争政策は有効かつ十分か。事業者行政はなお必要か。電気通信事業法の存廃条件は何か。
2) ユニバーサルサービス政策
今後のユニバーサルサービスとは何か。ユニバーサル行政は必要か。
3) コンテンツ政策
放送の多元性は十分か。放送とネットのコンテンツ規制は並立か一体化か。
4) 特殊法人管理
NTT法の存廃条件は何か。NHKの公共性は何がどこまで求められるか。
5) IT政策
IT政策は強化すべきか。全政策の中にIT利用施策を埋め込み、IT政策自体は縮小か。
6) 知財政策
知財政策は強化すべきか。著作権制度はリニューアルすべきか。
7) 支援措置
国家主導による技術開発、産業開発の位置づけは変化するか。
8) 国際
国際と国内のルール差はどこまで正当か。TPPや技術標準のような国際ルール化は重要性を増すか。
9) 国家と企業
各国制度とグローバル企業の行動とが衝突する際の調整スキームをどう講ずるか。
10) 行政組織
内閣官房、総務省、経産省、文科省その他に分かれた行政組織は見直すべきか。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2014年12月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。