『資本主義の正体』
今、マルクスが新たな脚光を浴びつつある。なぜか。それはフランスの経済学者、トマ・ピケティが書いたベストセラー『21世紀の資本』が描く現代の「格差」の姿が、「資本主義がグローバル化するにつれて、富は一部の資本家に集中し、残りの人々は窮乏化する」としたマルクスの予言と重なるものであったからだ。マルクスが思想が、再び説得力をもって甦ってきたのである。
実は、マルクスが分配の平等を主張したことも、グローバル化に反対したこともなかった。それどころかマルクスは、国家が分配の平等を実現しようとする温情主義を否定し、グローバル資本主義が伝統的社会を破壊するダイナミズムを賞賛したのだ。
マルクスが未来社会として構想したのは「平等社会」ではなく「自由の国」だった――そう著者は喝破する。では、彼が見通した資本主義とはいかなるものだったのか。そしてその現代的意味とは…?
新たなマルクス像に光を当て、現代の諸問題を斬る意欲作!
目次
■序章:資本が世界を文明化する
■第一章:自由主義者マルクス
■第二章:資本主義という奇蹟
■第三章:血まみれの手
■第四章:神の秩序と法の支配
■第五章:アジアの没落
■第六章:帝国主義から<帝国>へ
■第七章:大分岐から大収斂へ
■第八章:日本型資本主義の終わり
■終章:資本主義のゆくえ
著者について
池田 信夫(イケダ ノブオ)
アゴラ研究所所長
経済学者。1953年、京都府生まれ。東京大学経済学部を卒業後、NHK入社。93年に退職後、国際大学GLOCOM教授、経済産業研究所上席研究員などを経て、現在は株式会社アゴラ研究所所長。学術博士(慶應義塾大学)。著書に『イノベーションとは何か』『アベノミクスの幻想』(以上、東洋経済新報社)、『「空気」の構造』(白水社)、共著に『なぜ世界は不況に陥ったのか』(日経BP社)など。池田信夫blogのほか、言論サイト「アゴラ」を主宰。
アカシックライブラリー
(株式会社アゴラブックスは株式会社アカシック ライブラリーへと名称変更致しました。)