歌舞伎町の居酒屋は新宿区の条例もガン無視 --- 渡辺 龍太

アゴラ

こんにちは! フリーでニュース制作をしている渡辺龍太です。

2013年、新宿区は次の様な客引きを禁止する条例を制定しました。新宿区のホームページで、内容を確認してみましょう。

新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例を施行しました!(平成25年9月1日):新宿区

「新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」が、新宿区議会平成25年第2回定例会で可決され、平成25年9月1日から施行されました。

 この条例は、法律や都条例で規制されていない、居酒屋、カラオケ店の客引きそのものを規制するとともに、路上スカウト行為、客やスカウトの相手方を待つ行為(うろつき、たたずみ、たむろなど)も禁止しています。

そのため、歌舞伎町を歩くと、「そこの客引きをしている君!それは条例違反だ!」というような、ちょっと映画の吹き替えの声優さんが話している様なポップな雰囲気の放送が頻繁に流れています。そして、至る所に、客引き行為は条例違反だというポスターが貼ってあります。

では、そんな客引き行為の禁止に力を入れている、現在の歌舞伎町の写真を見てください。

何と、客引きだらけなんです!

「客引き行為は条例違反だ!」という放送が流れる中、オレンジ色の服で客引きしているのは、モンテローザ。黄色い服は金の蔵です。写真にはありませんが、ワタミ系列も制服で勧誘していました。

特にワタミは上場しているだけでなく、オーナーの渡辺美樹さんは国会議員であり学校法人の理事長もやっているわけです。自社のルール違反について、どう思っているのかが気になるところです。

いずれにせよ、この様な勧誘の光景を見ていると、私服で「今日、おっぱいどうですか?」と怪しげな店へ勧誘している方々の方が、制服で堂々と勧誘している上場企業より、よっぽど条例に敬意を払っているようにすら見えました。

では、なぜ条例で禁止されているのに、こんな事が堂々と行われているのかというと、この条例には罰則がないからです。

確かに、この罰則の無い条例が出来てからというもの、以前よりは客引きは減ったようには見えます。ですが、客引き行為が違反であるという放送が聞こえる中で、制服を着ている上場企業勤めの店員が、堂々と客引きをしているのは異常と言えるんじゃないでしょうか。

言ってみれば、新宿区の行政は区民には「歌舞伎町の浄化作戦をやってます!」とアピールしているだけで、事実上は何もやっていないのに等しいと思います。まるで、教師には真面目にノートを取っている様に見せかけて、実はノートに落書きをしているだけの学生のような不真面目さを感じます。

一方、大阪市では、きちんと罰則付きの条例を去年制定しました。

大阪市市民の方へ 大阪市客引き行為等の適正化に関する条例について

罰則等

  禁止区域において、指導、勧告及び命令に従わない場合は、5万円以下の過料が科されます。規制の対象となるのは、客引き行為等の行為者のほか、客引き行為等をさせた店舗責任者や客引き行為等の受託専門業者等です。

また、命令に違反した場合、違反者の氏名、事業所名等の公表や、当該事業所が所在するビルの管理者等に対して公表事実を通知する場合があります。

この大阪の条例は施行されたばかりなので、今後、街がどうなっていくのかには注視していく必要があるでしょう。しかし、新宿区の条例よりは、5万円以下の罰金という罰則を設けているので、新宿区よりは圧倒的に本腰を入れて街を浄化しようとしている姿勢が伺えます。

新宿区にも、区民に向かって街頭での放送やポスターで「行政は仕事で忙しいんですよ!」とアピールだけするような仕事はやめて、存在する意味のある条例を作って欲しいものです。

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渡辺 龍太
WORLD REVIEW編集長
主にジャーナリスト・ラジオMCなどを行なっている
著書「思わず人に言いたくなる伝染病の話(長崎出版)」
連絡先:ryota7974アットマークgmail.com
Twitter @wr_ryota
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編集部より:この記事は渡辺龍太氏のブログ「ネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログ」2015年1月14日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はネットメディアプロデューサー 渡辺龍太のブログをご覧ください。