ダウ、ギリシャ格下げに反応し5日ぶり反落 --- 安田 佐和子

アゴラ

ダウ平均は、5日ぶりに反落。米1月雇用統計が目覚ましい数字をみせつけたものの、格付け会社S&Pがギリシャの信用格付けを「B」から「B-」へ1段階引き下げたため、売りに転じてしまいました。


ダウ、再び年初来リターンはマイナスに。

(出所:Stockcharts)

欧州中央銀行(ECB)がギリシャ国債を資金供給オペの担保対象から外した2日後に、S&Pはどこより早く格下げを決断したかたちです。ツィプラス政権と債権者との支援交渉が難航を極めるなか最悪の場合、流動性確保の道を断たれたも同然のギリシャ国内銀行は資本規制を余儀なくされ、マーケットが常々懸念していた”ギリシャのユーロ脱退(Grexit)”を引き起こしかねない——とS&Pは警告しています。

ギリシャの現行の支援プログラムは28日に期限切れを予定しており、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のダイセルブルーム議長は本日、16日までに現行プログラム延長を申請すべきとの考えを示していました。一方でツィプラス首相は債務再編を狙い、ファイティング・ポーズを構えたまま。来週に11日にユーログループ特別会合、12日のEU首脳会議を予定し、ギリシャVSユーロ圏のチキン・レースが火蓋を切ったといっても過言ではありません。

ツィプラス首相、債務再編の要請を堅持するのか。

(出所:ekathimerini)

ギリシャが追加支援を得られなければ3月にも資金ショートに陥るとあって、欧州株はS&Pによるギリシャ格下げ前に取引を終えたにも関わらずそろって下落。ボラティリティが一段と高まるリスクも濃厚で、君子危うきに近寄らずといったところでしょうか。

米株はちょうど良いところまで上昇していたので、利益確定の売りも入りやすかった。ダウ平均は1月2日の高値17951.78ドル目前に迫り、S&P500とナスダックはそれぞれ昨年の大晦日以来の高値をつけてから、下落に転じています。ギリシャのネタは、格好のポジション調整材料となったんでしょう。なかなかブル街道まっしぐらとは、いかないものです。

(カバー写真:onlinembapage)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年2月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。