最近私の古巣の経産省の先輩でもある古賀茂明氏が「I am not Abe」などと言ったことを契機に報道ステーションのコメンテーターから追放されたようで、たいへんめでたく思っております。
上記の通り彼はこの事態を「篠塚報道局長が出すなといった」だとか「言論の自由に対する圧力だ」だとか言って相変わらず正義の味方を気取っているのですが、自分の専門外で知りもしないことをベラベラとしたり顔をしてしゃべり続け、これまで培った数々の信頼を踏み潰してきた自業自得の末路と考えるべきだと思うわけです。よく古賀茂明氏は「霞が関の内部を知る反原発の闘志」として扱われているのですが、これはとんだお笑い草です。改めて彼の役人時代の経歴を見てみると、彼は主として企業法務畑の出身で、その経歴からはエネルギーの「エ」の字も出てこないわけです。以下ご覧ください。
1994年(平成6年) – 通商産業省産業政策局総務課産業組織政策室長
1996年(平成8年) – 通商産業省産業政策局産業組織課長
1996年(平成8年) – 経済協力開発機構科学技術産業局規制制度改革課長
1999年(平成11年) – 通商産業省産業政策局取引信用課長
2001年(平成13年) – 経済産業省商務情報政策局取引信用課長
2002年(平成14年) – 経済産業省産業技術環境局技術振興課長
2002年(平成14年) – 内閣府産業再生機構設立準備室参事官
2003年(平成15年) – 株式会社産業再生機構執行役員
2004年(平成16年) – 経済産業省経済産業政策局経済産業政策課長
2005年(平成17年) – 経済産業省中小企業庁経営支援部長
2006年(平成18年) – 独立行政法人中小企業基盤整備機構理事
2007年(平成19年) – 独立行政法人産業技術総合研究所理事・業務推進本部長
2008年(平成20年) – 内閣官房国家公務員制度改革推進本部事務局審議官 (内閣審議官)
2009年(平成21年)12月 – 経済産業省大臣官房付
2011年(平成23年)9月26日 – 依願退官
では彼はいかにして詳しくもない原発問題について語るようになったかというと、東日本大震災が起きるとその直後にすでに役所を退職していた原子力分野の専門家の同僚に「原子力について教えてくれ、本を書きたいんだ」などとお願いしたことに始まるわけです。(裏取り済み)そして所詮にわか仕込みに過ぎない知識に「経産省と電力会社の陰謀」なるスパイス加えてぐちゃぐちゃに歪め、それを「元官僚」というブランドを悪用してそれっぽく話す、ということで陰謀論芸人として生きる道を開拓したのは皆さんご存知の通りです。なお彼に原子力行政のイロハを教えた同僚(私から見れば経産省の先輩)は自分が教えたことをめちゃくちゃに歪めて語る古賀氏の姿を見て「アイツに色々と話したことは生涯最大の間違いの一つ。原子力行政を正してくれると思ったら、陰謀論を作り上げて自分の商売のタネにするだけだった。」というようなことを言っていました。おっしゃる通りだと思います。なんですかこのおどろおどろしい写真は↓
これを機に、彼が自分の陰謀論芸人としての収入を維持するために関西電力の「停電テロ」を始め垂れ流しためちゃくちゃなデマのせいでどれだけの人が迷惑をこうむり損害を受けたか、それを考える必要があると思うわけです。そしてその責任はもちろんテレビ局側にもあるわけです。もちろん言論の自由というのは最優先に考えられるべきでこうした言動に対してテレビ局は損害賠償を払うべき、とは言いませんが。ただ権利には義務がつきものなわけで、テレビ局は「言論の自由」をかさに着て何でもデマを垂れ流していい、ということとは全く違うのは当たり前の話です。なんらかのケジメ、というものはあってしかるべきだと思うわけです。
これは古賀茂明氏に限らず、さんざん「福島の野菜は汚染されている」などと言い続けた上杉隆氏や武田邦彦氏も同じことで、こうした人たちを使い続けることをいい加減テレビメディアはやめなければいけないと思うわけです。「素人がテレビに出て、恐怖をあおって、国をめちゃめちゃにして、それで何の責任も取らない」なんていうことがまかり通ってはむしろ言論の自由の危機なわけです。言論の自由だから、コメンテーターだから何を言ってもいいわけないんですよ。
そしてこれを機にテレビ局は「コメンテーターにはその道の専門家を起用する」という当たり前のことをルール化すべきだと個人的に思うわけです。
個人的には総務省が基準を作ったっていいぐらいだと思いますが、政府が言論の自由に規制を与えるようなことはすべきではないともまた思うので、テレビ局は攻めて報道番組のコメンテーターに対する自主基準くらいはつくるべきなんじゃないでしょうか。
少なくとも3.11という我が国未曽有の災害を、自らの名を上げるために利用して歪んだ情報を流し続けた古賀茂明氏や上杉隆氏のような輩は、二度と良識あるメディアはコメンテーターとして起用すべきではないんじゃないでしょうか?
。。。などと怒りに任せて書いてみましたが、ちょこちょこ自分もテレビにでたりもするので自戒を込めつつこの辺で終わらせていただきます。
ではでは今回はこの辺で。
編集部より:このブログは「宇佐美典也のブログ」2015年3月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のブログをご覧ください。