米株に勝負をかけるなら、4月後半が狙い目? --- 安田 佐和子

アゴラ

米株は50日移動平均線割れから切り返したのも夢の後、8日のアルコアで開幕する1-3月期決算を控え再び下方向を探りつつあります。今回はプロフィット・リセッションが叫ばれるほか決算発表を迎える月の前半は崩れやすいだけに、ロングを仕込みづらい事情が見え隠れしますね。


米3月雇用統計が4月の積雪のごときネガティブ・サプライズを与えただけに、週明けに急落する不安が立ち込めてきました。3月17-18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が仮に、”ハト派寄り声明文→議事録タカ派寄り”、”タカ派寄り声明文→議事録ハト派寄り”のパターンを踏襲するなら今回はタカ派寄りへシフトするとみられ、S&P500は3月11日の安値と一目均衡表の雲の下限がある2040pをあっさり抜けてきそうですが・・・悲観に傾くのは、まだ早いかもしれません。「5月に売り逃げろ」の投資格言があるように、4月後半は上昇しやすいのですよ。

12月のほか、3月と4月のリターンが光ります。


(出所:Bespoke/CNBC)

CNBCがベスポークのレポートを元に伝えたところ、S&P500の月足リターンで陽線引けする確率が最も高い月は4月。ホリデーシーズンを迎える12月、3月と並び、75%に及んでいました。しかも1990年以降、4月前半のリターンが横ばいあるいは小幅減なので、後半に急伸し取り返す傾向が極めて高いことが分かります。

節目は、銀行決算でしょう。例えば今年は14日のウェルズ・ファーゴ、JPモルガンを皮切りに米銀大手の決算が控えます。15日にバンク・オブ・アメリカを経て、16日にはシティグループ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーと集中するんですよね。今回の米銀大手は業績回復の期待値も高く、買い戻しの波を呼び寄せる可能性に留意しても損はないでしょう。

ちなみに、米銀決算の1株当たり利益はJPモルガンこそ市場予想を下回りがちですが、後になればなるほど予想以上となるケースが多い。GSになると過去1年間、市場予想以下のサプライズは皆無です。

▽JPモルガン
2014年10-12月期 市場予想 1.30ドル 結果 1.19ドル マイナス8.46%
2014年7-9月期 市場予想 1.39ドル 結果 1.36ドル マイナス2.16%
2014年4-6月期 市場予想 1.30ドル 結果 1.46ドル 12.31%
2014年1-3月期 市場予想 1.41ドル 結果 1.28ドル マイナス9.22%

▽ウェルズ・ファーゴ
2014年10-12月期 市場予想 1.02ドル 結果 1.02ドル 市場予想と一致
2014年7-9月期 市場予想 1.02ドル 結果 1.02ドル 市場予想と一致
2014年4-6月期 市場予想 1.01ドル 結果 1.01ドル 市場予想と一致
2014年1-3月期 市場予想 0.97ドル 結果 1.05ドル 8.25%

▽バンク・オブ・アメリカ
2014年10-12月期 市場予想 031ドル 結果 0.32ドル 3.23%
2014年7-9月期 市場予想 0.09ドルの赤字 結果 0.01ドルの赤字 88.89%
2014年4-6月期 市場予想 0.29ドル 結果 0.31ドル 6.9%
2014年1-3月期 市場予想 0.05ドル 結果 0.05ドルの赤字 マイナス200%

▽シティグループ
2014年10-12月期 市場予想 0.09ドル 結果 0.06ドル マイナス33.3%
2014年7-9月期 市場予想 1.12ドル 結果 1.15ドル 2.68%
2014年4-6月期 市場予想 1.08ドル 結果 1.24ドル 14.81%
2014年1-3月期 市場予想 1.18ドル 結果 1.30ドル 10.17%

▽ゴールドマン・サックス
2014年10-12月期 市場予想 4.29ドル 結果 4.38ドル 2.1%
2014年7-9月期 市場予想 3.22ドル 結果 4.57ドル 41.93%
2014年4-6月期 市場予想 3.07ドル 結果 4.10ドル 33.55%
2014年1-3月期 市場予想 3.43ドル 結果 4.02ドル 17.2%

▽モルガン・スタンレー
2014年10-12月期 市場予想 0.47ドル 結果 0.39ドル マイナス17.02%
2014年7-9月期 市場予想 0.54ドル 結果 0.77ドル 42.59%
2014年4-6月期 市場予想 0.55ドル 結果 0.60ドル 9.09%
2014年1-3月期 市場予想 0.60ドル 結果 0.68ドル 13.33%

ひとまず米銀の決算で相場の潮目が変わるのか、注目です。

(カバー写真:Prayitno/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年4月3日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。