絵文字といえば、日本が生んだ”かわいい”ツールですよね。メールやソーシャルネットワークの文章に追加するだけで浮き立った気持ちや沈んだトーンを表現してくれるだけに、年齢を問わず必須アイテムと化してきました。コミュニケーションを楽しくスムーズにしてくれるため、アメリカをはじめ世界でも着実に浸透しつつあります。
そんな絵文字がemojiとして世界に飛び立ってから、ひとつの壁にぶち当たっています。それは、人種をはじめとした差別問題。例えば、人間の絵文字は白人っぽい絵柄が多く黒人など他の人種は一般的ではありません。また、カップルのデザインも男女であって同性は見当たらず。多様化が進むなか、世界各国から移民が集まるアメリカでは絵文字そのものに疑問が投げかけられていました。
不平等を訴えるユーザーの声が届き、アップルが8日にリリースした新型オペレーション・システム”iOS 8.3”には以下の絵文字などを追加しています。
様々な人種が加わり、一段とカラフルになりました。
(出所:The Daily Dot)
アップルがデビューさせた絵文字に目を付けたのが、漂白剤”クロロックス”。ツイッターを通じ8日夜に広告戦略を展開したものの・・・まさかの論争を引き起こしてしまったのです。ひとまず、こちらをご覧下さい。
絵文字をコラージュした広告、何が問題か分かりますか?
(出所:AD Week)
文章にご注目。「新しい絵文字はいいんだけど、漂白剤はどこ?」とあります。絵文字に人の絵柄を含まなかったとはいえ、新たに絵文字に追加された白人以外の人種を皮肉ったと捉えられたんですよね。こんなご時世ですから、インターネット上で大炎上したのは言うまでもありません。
数時間後に慌ててツイッターを消去し、謝罪としてこんなツイッターを配信。ジョーク混じりに火消しに動いたのです。
(出所:Clorox/Twitter)
アップルの絵文字追加に便乗した広告戦略は、炎上商法としても大失敗に終わりました。
(カバー写真:Mike Mozart/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年4月9日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。